市民エネルギーちば 東光弘代表<1>発電と作農の“二毛作”
脱原発の実現へ、再生可能エネルギーの切り札と目される太陽光発電。政府の普及政策もあってあちこちに発電所を見かけるようになったが、広大な用地をどう調達するか、山野を切り開くことによる自然破壊は悩みのタネだ。
千葉県匝瑳市の小さな電力会社「市民エネルギーちば」は、発電パネルの下で作物を作り農地をダブルインカムにする「ソーラーシェアリング」を広めることで、これらの問題を解決しようとしている。日本の農地は約4万5000平方キロ。これだけあれば用地は十分、今ある農地の活用なら自然も破壊しない。
日本のパタゴニア本社や店舗の電力をまかなう太陽光発電所の運営を任され、メガソーラー発電所の通電式には小泉純一郎ら脱原発で気脈を通じる首相経験者3人も駆け付けた。代表の東光弘氏はどんな道を経て“世直し電力事業”にたどりついたのだろうか。
東氏は1965年、東京の下町で生まれた。父親は製材会社に勤めていたが、東氏が生まれる前、大阪で事業に失敗していた。
「だから母親からは、商売だけはやってくれるな、堅い仕事に就いてくれと言われていました。まったくそうなりませんでしたね(笑い)」