親子上場解消のカジ切る「豊田自動織機」割安放置の危うさ
また、デンソー6937万株、アイシン精機2071万株、豊田通商3936万株、自社株1535万株など、この5銘柄だけで時価総額は約2兆2000億円と、自身の時価総額を1割以上も上回る。同社の実質1株純資産は、現在の株価の2倍を優に上回ると推測される。
同社は代表的な含み資産株として、過去に仕手グループや投資ファンドに株式を何度か買い集められた経緯がある。2000年には持ち株の含み益を薄めるために、発行済み株式の約10%に相当する時価発行増資を強行したほどだ。
トヨタは取引先金融機関やグループ企業各社で発行済み株式の過半数を占めるよう株式を持ち合い、敵対的買収を防いできた。しかし安倍政権は、株式持ち合いを資本効率や企業価値の向上・拡大の妨げになるとして、解消させようと次々に手を打っている。また、ユニゾのように敵対的買収を仕掛けてくる投資ファンドが現れる可能性も高まっている。
そんな事情もあり、トヨタグループの株式持ち合い戦略は親子上場の解消へと大きくカジを切るのではないか。そのため、持ち株会社的存在である豊田自動織機を早い段階で完全子会社化する意義は大きい。トヨタの経営陣は、同社の株価を超割安な水準で放置していることのリスクを痛感しているはずだ。