キーパーソン退社で業績悪化…急増する人手不足倒産の実態
人手不足倒産が想像以上に深刻化していることがわかった。東京商工リサーチによると、2019年の“人手不足”関連倒産は、過去最多の426件に達したという。400件を突破したのは初めてのことだ。
内訳は、「後継者難」が270件(前年比2・8%減)、「求人難」が78件(同32・2%増)、「従業員退職」が44件(同83・3%増)、「人件費高騰」が34件(同30・7%増)だった。なかでも急増しているのが、83・3%増の「従業員退職」による倒産である。
東京商工リサーチ情報本部の谷澤暁氏が言う。
「昨年は、従業員がまとまって退社してしまったために事業が成り立たなくなり倒産してしまったケースがありました。従業員が退社する理由は、待遇への不満や、好待遇会社への転職などです。キーパーソンの退社が倒産を引き起こすこともあります。部長や社長の右腕など、会社を背負っているキーパーソンは、多くの顧客を抱えていたり、高いスキルを持っているため、辞められると会社の業績を直撃するのはもちろん、社内の士気が下がってしまう。“従業員退職”による倒産は、2020年も多くなりそうです」