経産省が2200億円の補助金も…ビジョンなき日本の製造業
中国一極集中を回避するために、経済産業省は今年度の補正予算で2200億円を確保した。5月22日~6月5日の先行締め切りまでに90件、約996億円の応募があり、57件の574億円を採択。医療関連の生産事業は39件、そのうちマスク生産事業については13件にとどまった。
コロナ禍で苦労したのは医療物資の調達だ。マスクや防護服など医療用品生産の国内回帰は必須だが、現状、大きな動きはないようだ。
「国内回帰に手を挙げる企業は少ないですよ。補助金を出してもらっても、5年後、10年後のビジョンが描けませんから」
マスクの製造・販売を手掛ける某社幹部は明かす。これはほかでもない、日本の製造業の未来に対する不安の代弁だ。台湾では政策に基づいたサプライチェーンの再編が進むが、日本の製造業にはこれといったビジョンがない。
補正予算について経済産業省は「サプライチェーンのリスク分散、強靱化の選択肢のひとつとして国内投資がある、という認識です」としているが、中国に進出した企業を日本に呼び戻すという積極さは乏しい。