家業の廃棄物処理会社を飛躍的に伸ばした社長の原動力<前>

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トライシクル 福田隆社長(前編)

 家業を継ぎながらも、創意工夫ができずダメにしてしまう御曹司もいれば、その逆もいる。“弱冠”28歳で家業の廃棄物処理会社を引き継ぎ、飛躍的に発展させた福田隆氏は昨年、テレビ東京の「ガイアの夜明け」でも紹介された。その原動力は営業の発想力だ。

 スラリとしてスタイル抜群。コロナ禍での自転車通勤のたまものだという。しかし学生時代は90キロも体重があったとか。

「中学から大学まで10年続けたラグビーのせいです。プロップというポジションだったのですが、フォワードなので太るのもプレーのうち。おかげで合コンには全然呼ばれませんでした(笑い)」

 実家は明治35年創業の「東港金属」という東京・大田区にある資源リサイクル会社を営む。まさに“御曹司”として、青年時代までは何不自由なく過ごした。愛車はベンツ……ではなく、四駆ブームだったことからトヨタのハイラックス。

営業成績は急上昇も5年で退職

「免許を取って以来、電車で行ける大学にもっぱら車で通学してました」

 不自由なく暮らしていた青年に初めての挫折が訪れる。就職活動で、希望していた総合商社に全て落ちたのだ。

「挫折というほどのことではないのですが、当時は大企業や有名企業に入ることが絶対的なステータス。就職氷河期だったとはいえ、行きたい会社に行けなかったことは相当なコンプレックスでしたね」

 仕方なく第1希望ではなかったベアリング大手の会社に入社。しかし仕事はやってなんぼ。営業に配属されると、すぐに働くことの面白さに気づいた。そして自分の長所にも。

「当たり前のことを愚直に繰り返せるところですね。例えば、顧客に頼まれたことを忘れずに100%やるとか。でも周りの高学歴社員は結構忘れるんですよ。何でこんな簡単なことができないんだろうと不思議でなりませんでしたが、最近、某新聞社の人にその話をしたら、“そういう人たちは受験勉強で燃え尽きてるからですよ”と言われて、なるほどなと思いましたよ」

 生真面目な性格と努力のかいがあり、1年目の終わり頃から営業成績は急上昇。大手電機メーカーの担当として大型案件を次々と獲得するなど活躍したが、5年で退職。理由は「もう一度就職市場で自分がどう評価されるのか試したくなったから。今の自分は総合商社に落ちた時とは違うんだと、調子に乗っていたんです」と笑う。

御曹司ゆえ絶対数字を出してやろうと

 3社受けて、結果全てで内定を獲得。それで胸のつかえが取れて“スッとした”という。そのうちの一社である外資系コンピューター会社に入社したが、なかば燃え尽き症候群状態。会社も四半期ごとにバッサリ社員を切るような典型的なアメリカ型企業で、「クビにならないことが目的化していた」こともあり1年で退職。父から「そろそろ」と水を向けられたこともあり、東港金属に一般営業職として入社する。

「社長の息子という目で見られるだろうから、絶対数字を出してやろうと。初日に安いスクーターを買って、飛び込み営業を始めました。それですぐに分かったのは、この業界は恵まれているということ。最初の週に50件飛び込んだのですが、4件成約しました。8%の成約率なんて、保険や車のセールスではありえないこと。これはいけると手応えを感じました」

 ところが事態は風雲急を告げる。入社半年後に父が脳内出血で急逝したのだ。享年58歳。あまりにも若く、28歳の福田さんにとっても早すぎる死だった。 =つづく

 (聞き手=いからしひろき)

▽ふくだ・たかし 1974年、東京生まれ。成城大学卒業後、ベアリング大手に入社。2001年に外資系コンピューター企業に転職。翌02年に父が経営する資源リサイクル会社「東港金属」に入社する。しかし半年で父が急逝したため、4代目社長に就任。企業改革に取り組み、年間売上高10億円を3年後には43億円に押し上げた。同時に積極的な設備投資も進め、07年、千葉に敷地面積1万2600坪の大型リサイクル工場を建設。18年にはグループ会社のトライシクルを設立。企業間で不用品をやりとりできるアプリ「ReSACO(リサコ)」を19年2月に運用開始した。

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