日本殺陣道協会八木哲夫会長<4>仲間と酒を飲み未来を語る

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 殺陣は本来、映画や演劇で役者が演じる特殊技能。設立から16年になる日本殺陣道協会だが、その成り立ちにはちょっと驚かされる。

「殺陣は日本各地で、それこそバラバラに行われていて、どこかの団体が取りまとめているというものではなかった。そこで“殺陣道”という形で一般社団法人化しました。まあ、勝手に日本代表という看板を上げたわけですね。すると、マスコミをはじめ、いろんな組織や個人から問い合わせが来るようになりました。まさに『言ったもん勝ち!』という感じです」

 協会には殺陣だけでなく、日本全国からパフォーマーが集まってくる。パントマイムに大道芸、剣道家やプロレス関係者まで。まさにお好み焼きのようにごちゃまぜ状態。東京にはない大阪ならではの人間関係の近さを感じさせる。

「道場は、皆さんが作品を持ち寄って人材交流をするサロンのような場所です。だから殺陣に限らず、大阪で自分たちの活動を紹介したいという人たちの、縁を結ぶ窓口になるよう心がけています」

 その道場をコロナで失いたくない。どうすれば道場を維持できるのか。スタッフ一丸となって頻繁にミーティングを行っているという。

「少人数でソーシャルディスタンスを保ちながら、そして少し飲みながらアイデアをぶつけ合います。今までも飲み会から名案が湧き出てきましたから(笑い)。議題はクラウドファンディングやZoomを使った海外向けのリモートチャンバラ教室、中国向けのLIVE配信による投げ銭システムなど。モチベーションは全員同じで、お客さんの喜ぶ顔が見たいから。コロナ禍で海外からの旅行者は見込めませんが、おかげさまでトリップアドバイザーをはじめ、サムライ教室を扱わせてほしいと、現在11社を超えるエージェントさんに登録をいただいています。ワクチンが開発され、安全に海外旅行ができるようになれば、以前にも増して来客いただけるのは間違いありません」

 八木会長はかつて東京のテレビ局に勤務していた。その後、芸能人を育成する専門学校の立ち上げに関わり、殺陣のプログラムにも関わった。

 上司の命令でコネもツテもない大阪の地で単身起業することになったのだが、これが人生の転機となる。

「自分一人だけなら、協会を畳んで東京に帰って年金をもらいながら隠居暮らしをする選択肢もあるでしょう。でも、ここには苦楽を共にする仲間がいるし、協会を慕って集まってくれた人たちがいる。何よりサムライ教室を楽しんでもらう未来のお客さんがいるはず。その機会を提供できないのであれば、きっと悔いが残ってしまうことでしょう」

 2025年大阪万博に向けて今は我慢の時だと力を込める。

 (取材・文=中森勇人)

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