これが大手企業の平均給与ランキングだ!業界別に大調査<2>
今期は10年ぶりマイナスへ
コロナ禍で業績を悪化させる企業が増え続けている。年収カットに踏み切る大手も続出だ。この先、サラリーマンの給与はどうなるか。東京商工リサーチのまとめによると、2020年3月期「上場企業1803社の平均年間給与」は630万5000円だったが……。
「今後は厳しいと言わざるを得ません。20年3月期まで9年連続で上昇を続けていましたが、今年は賞与や残業代の減少が目立ちます。上昇は途絶える可能性が高いでしょう」(東京商工リサーチ情報部の坂田芳博氏)
20年3月期の平均給与は総合商社や放送局、不動産、製薬などが上位を占めた。業界別トップ5を見ると、総合商社と放送局はすべて1000万円超だった。
【銀行】トップ5は例外なく1000万円を超えている。ただ、意外にも新潟地盤の第四北越FG(1165万円)と、茨城・栃木地盤のめぶきFG(1157万円、傘下に常陽銀行、足利銀行)がランクインしている(別表参照)。メガバンクの一角、みずほFGはランク外の967万円だった。
コロナ禍で業界は二極化
【証券】野村HD(1313万円)と大和証券グループ本社(1014万円)が大台超え。ネット証券大手のSBI証券を抱えるSBIHD(839万円)は4位に付けた。
【保険】東京海上HD(1245万円)、SOMPO HD(1106万円)など4社が1000万円超。4位のアニコムHD(1003万円)はペット保険の草分けで業界首位だ。
【建設】鹿島(1134万円)、大林組(1057万円)、大成建設(1010万円)、清水建設(1006万円)と大手が上位を占めている。
【自動車・部品】トヨタ自動車(865万円)がトップ。「この業界は従業員の裾野が広く、平均給与は低くなりがち」(市場関係者)だという。カルロス・ゴーン前会長の事件に揺れ、業績を悪化させた日産自動車(810万円)は4位だった。
【電機】は計測制御機器のキーエンス(1839万円)以下、トップ5は1000万円を超えている。
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「今期(21年3月期)は業界ごとのバラつきが激しくなりそうです。コロナ直撃で業績悪化の著しい企業と、反対に巣ごもり需要の恩恵を受ける業界の二極化となりそうです。ただ、全体としてはマイナスの影響が避けられず、今期の平均給与は600万円に届くかどうかだと思っています」(坂田芳博氏)
2014年の平均給与は592万円だった。この水準に逆戻りだ。