トリゼンHD 河津善博社長<1>九州産銘柄鶏「華味鳥」のおいしさを40年以上にわたり追求
鍋のおいしい季節になった。日本4大鶏鍋の1つに数えられる水炊きを楽しみに、「水たき料亭 博多華味鳥」には多くの客が訪れる。人気の理由は飼育から調理まで一貫して提供する九州産銘柄鶏「華味鳥」の味と品質。この垂直統合型の仕組みを確立したのがトリゼンホールディングスの代表取締役社長・河津善博氏だ。
「失敗ばかりでしたよ」と過去を振り返る河津氏が生まれたのは、1954(昭和29)年。福岡市博多区の吉塚市場に父親の善陽氏がかしわ屋(鶏肉専門店)を開業して5年後のことだ。
「親父は私の憧れでした。胴元のように腹巻きにお金をたくさん入れて300羽、400羽もの鶏を仕入れ、店でさばいてバーンと売る。それがかっこよくてね。小学生の頃から店の手伝いをしながら親父のようになりたいと思っていました」
高校は福岡有数の進学校である西南学院高校に入学。生徒会長を務めるなど有意義な学生生活を送ったが、大学には進学しなかった。善陽氏の後を継ぐためにすぐにでも働きたかったからだ。