トヨタ株に買いが集中するのは相場にとって「危ないシグナル」
米国の金融政策に振り回され、東京株式市場は年初から激しい乱高下が続いている。そうした中で堅調なのがトヨタ株だ。人気を集め、連日のように高値を更新している。1月18日には2475円まで上昇し、時価総額が初めて40兆円を上回った。
トヨタに限らず、大型株に資金が集中する傾向は年明け以前から続いている。昨年の10月末から1月18日までの騰落率をみると、トヨタは21%高、時価総額が大きい主力株で構成する「東証株価指数コア30」は4%の上昇だ。一方、日経平均は2%安、中小型の成長株で構成する東証マザーズ指数にいたっては24%安と大幅に下落し、1年7カ月ぶりの安値をつけるほどだ。
米国市場でも同じように超大型のひと握りの銘柄に資金が集中している。年初にアップルの時価総額が一時3兆ドル(約340兆円)を突破し、GAFAMにテスラを加えた6社の時価総額は、S&P500の構成銘柄全体の25%を超えている。
なぜこうした現象が起こっているのか。昨年の11月以降、世界的に金融政策が正常化される見通しが強まっている。つまり、米FRBを筆頭に中央銀行が量的緩和を縮小し、緩和マネーが細れば、流動性の低い中小型株は売られやすくなる。こうした理由から“安全パイ”である超大型株が、消去法で買われるという状況が続いているのだ。もっと掘り下げれば、だれもがリスクを避け始め、消極的になり始めている証拠なのだ。