投資ファンド化する「日本政策投資銀行」の現在地 もはや大蔵省の天領ではない
大蔵省(現・財務省)の元事務次官で日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)総裁などを務めた吉野良彦氏が7月26日に死去した。91歳だった。吉野氏はその剛腕ぶりから「ワル野ワル彦」というあだ名があったほどの大物次官で、開銀に天下った後も、大蔵省人事に影響を保持した。
その開銀も政府系金融機関の再編や小泉純一郎政権以降の民営化路線を経て、大きく変貌している。
「日本政策投資銀行への名称変更をはじめ、トップも6月に3代連続の生え抜き社長として地下誠二氏が就任したばかり。かつて大蔵省の天領と呼ばれ、有力OBが多数天下っていた頃とは様変わりしています」(金融庁関係者)という。
事業ポートフォリオも変貌しつつある。
「リーマン・ショック以降、政投銀(日本政策投資銀行)は経営不振企業の駆け込み寺的な存在となっています。現下のコロナ禍においても、全日本空輸(ANA)、近鉄グループホールディングス、丸井グループ、ロイヤルホールディングス、ワタミ、JTBなど日本経済を担う企業への資金・資本支援を行っています」(メガバンク幹部)という。