「スシロー」“おとり広告”など醜聞噴出で客離れ…「プロ経営者」が逆風下の値上げに挑戦
回転ずし「スシロー」を運営するFOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)は2022年9月期(通期)の連結決算(国際会計基準)を下方修正した。
売上高にあたる売上収益は前期比16%増の2800億円と、従来予想を150億円引き下げた。営業利益は75億円低い、同63%減の85億円を見込む。純利益は同77%減の30億円と、これまでの予想の35%弱相当となる。
相次ぐ不祥事が業績の低迷の背景にある。在庫のない状態でテレビCMや自社ウェブサイトで宣伝を続けたとして、6月に消費者庁から景品表示法違反(おとり広告)による措置命令を受けた。21年9~12月に実施したウニやカニを使った目玉商品のキャンペーン期間中に大半の店舗で提供できない時期があったことが問題視され、販促活動を一部で自粛した。
水留浩一社長は7月から3カ月間、基本月額報酬の3割を自主返上。F&LCの常務執行役員で運営子会社あきんどスシローの前社長の堀江陽氏は2割、F&LCの福山知子執行役員も1割返上した。
7月には「生ビールジョッキ半額」の販促開始前に52店舗でポスターを掲示し、店頭での販促告知を見て商品を注文した顧客への返金対応に追われた。さらに販促開始後に、少なくとも17店舗で「生ビールジョッキ」が品切れになり、SNS(交流サイト)などで批判が相次ぎ、大炎上した。
イメージ悪化で客離れが進んだ。スシローの7月の既存店売上高は前年同月比10.2%減と激減した。この減少幅になったのは2年ぶりのことだ。8月は6.3%減、9月は8.1%減と前年割れが続いた。
新型コロナの感染「第6波」が収束後、外食産業に客足が戻りつつあった。9月の既存店売上高は、くら寿司(18.3%増)、かっぱ寿司(22.2%増)、元気寿司(19.0%増)と大きく伸びた。スシローだけが一人負けの格好だ。株価は年初の半値まで下落。9月2日に2060円の年初来安値をつけた。