米国の長短金利差が拡大…これは景気後退と株価下落のシグナル
米国の債券市場において、今年3月末から「逆イールド」が発生している。金利は通常、満期までの期間が長いほど高くなるものだが、「逆イールド」とは、短期金利が長期金利の水準を上回る現象(長短金利の逆転)である。長期債としては10年国債、短期債としては2年国債を使用することが多い。
3月末から起こったこの逆イールド。最近では長短金利差が0.70%(11月21日)まで広がり、これは1982年2月以来実に40年ぶりの水準だ。
その背景にはFRB(米連邦準備制度理事会)の急ピッチな利上げがある。3月に利上げに着手したFRBは高インフレを鎮めるために、利上げペースを加速させてきた。短期債の利回りは、目先の政策金利の変化による影響が大きいことから上昇しやすく、一方の長期債の利回りは将来の景気減速や景気後退リスクを反映し、上昇しづらい構図になる。
逆イールドの発生は、市場参加者が「FRBが利上げを進める結果、先行きの景気が後退に向かい、結局、利下げに転じることになる」というシナリオを抱いているからである。