フジテックは香港系投資ファンドに追い込まれ…「物言う株主」が創業家社長を追及
エレベーター・エスカレーター専業大手、フジテックが「物言う株主」に翻弄されている。先週末に滋賀県彦根市の本社で開かれた臨時株主総会。同社株の17.26%を握る筆頭株主の香港系投資ファンド、オアシス・マネジメントが求めていた全社外取締役(5人)の解任案が一部可決(3人)成立。一方でオアシス側の提案による6人の新たな社外取締役候補のうち4人が選任された。
新取締役会の構成メンバーは会社側が岡田隆夫社長ら3人の社内役員を含めて9人中5人。オアシス側を抑えてかろうじて会社側優位の勢力図は保たれたものの、経営の混乱は避けられない。市場関係者の間では「フジテックの“東芝化”が始まる」との見方も広がる。
事態が泥沼化したのは昨年5月。定時株主総会を前にオアシスが「公私混同」や「会社私物化」を理由に創業家出身の内山高一社長(当時)の取締役再任に反対する方針を打ち出したことが発端だ。このため会社側は総会直前になって急きょ、再任議案を撤回。社長辞任を発表したが、総会後の取締役会で内山氏が取締役ではない「会長」に就任する人事を決定。これにオアシス側が「株主に対する背信行為だ」として猛烈に反発したことからエスカレートしていった。