創業者返り咲きの効果は? 希望退職実施も赤字幅ふくらむ「クックパッド」の行く末
市場関係者の間では冷ややかな見方が広がる。5月半ばに創業者の社長復帰を発表したレシピサイト運営のクックパッド。1997年に同社を立ち上げた後、2012年に取締役に退いていた佐野陽光氏が10月1日付で社長兼CEO(最高経営責任者)に返り咲き。現社長の岩田林平氏は“ヒラ取”に降格となる。創業者の求心力で経営不振を乗り切ろうとの算段だ。
クックパッドの業績は悪化の一途だ。2017年12月期以降、6期連続の減収(国際会計基準)で21年12月期には23億円超の最終赤字に転落。22年12月期は最終損失34億円強と赤字幅が一段と膨らんだ。
そんな中、今年に入って打ち出してきたのがリストラだ。17年からの10年間を「投資期間」と位置付けてM&Aで取得したり、自ら立ち上げた食育活動事業や一部の広告事業など6つの新事業から全面撤退。4月末と5月末の2回に分けて希望退職を実施し、従業員の約3割、119人にも及ぶ人員削減に踏み切った。
しかし好転の兆しは「一向にうかがえない」(大手証券筋)。23年12月期の第1四半期も最終損益は割増退職金4.3億円の計上もあって16億円超の赤字に沈んだ。株価も低迷する。足元の水準は年初来安値圏。ピーク時(2880円)の1割にさえ届かない。2月には自己株買いを実施したものの株価の押し上げ効果はほとんどゼロ。「焼け石に水」(金融関係者)で終わった。