著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

ラゲッジは最大675ℓ!ベンツが作るスーパースポーツ2代目 AMG GTクーペが便利すぎる

公開日: 更新日:

メルセデスAMG GTクーペ(車両価格:¥27,500,000/税込み~)

 10年前にハイパフォーマンスな「メルセデスAMG」をサブブランド化し、スーパースポーツカテゴリーを絶賛強化中のメルセデス・ベンツ グループ。中でもイメージリーダーたる大排気量V8エンジン搭載の本格2シータースポーツ、GTが遂に2代目へとフルモデルチェンジした。

 新型GT63 4MATIC+クーペの日本価格は2750万円。ざっくり誤解を恐れずに言うとメルセデスが作るポルシェ〜フェラーリクラスの本格2シーターと言っていいのかもしれない。

 ただし路線は絶妙に異なる。ポルシェは911に代表されるリアエンジンレイアウトの2+2シートスポーツカーが有名で、スタート価格は現在1600万円台。

 フェラーリはエンジンをフロントミッドかリアミッドに搭載した本格2シーターばかりで、最も安いV8エンジン搭載のローマが2800万円台でV12エンジン車は5000万円以上もする。

 メルセデスAMGは自身のシンボルたる1950年代のベンツ300SLを原点とした的な典型的ロングノーズのフロントエンジンカーが基本で、新型GTクーペも王道すぎるほどのFRフォルム。しかも今回それが絶妙に実用的に進化しているのだ。

ポルシェ911顔負けの実用性も得た

 初代GTクーペは完全2シーターで全長4.5m台。4ℓV8をフロントに積み、後ろにキャビンを付けると、まるでメルセデスマーク入りのお頭付きノーズがまんま走っているような感じもあった。

 しかし2代目は違う。この世代から現行オープンスポーツのSLとプラットフォームを共有、全長は18cmも伸びて4.7m台に。その結果、AMG GTの顔面力はそのままにリアが伸び、均整の取れたFRフォルムに。

 同時に2シーターだけでなくエマージェンシー用リアシートもオプションで選べるようになり、主要ライバルたるポルシェ911顔負けの実用性も得たのだ。

ラゲッジはマジメに引っ越しに使えるかも?

 乗ってみるとまず驚くのは、アルミスペースフレームにスチール、マグネシウム、カーボンやマグネシウムまで加えた強化ボディの塊感あるフィーリングと想定外の利便性。

 今回借りたGT63クーペはリアシートオプション付きで、大人が後ろに座ると頭もヒザも壁に付きまくりだが、そのまま状態でラゲッジ容量は321ℓあり、シートバックを倒すと675ℓまで広がる。

 これはスーパースポーツとして圧倒的広さで、マジメに引っ越しに使えるかも? と思ったほど。

 それでいて前述した本格スーパースポーツ専用ボディのおかげでステアリングフィールは超ソリッド。エンジンはインタークーラーやクランクケースに改良が加えられた4ℓV8ツインターボで、585ps&800Nmの巨大ピークパワー&トルクを発揮。それを9速ミッションで路面に伝えるだけでなく、この世代からGTは4マチック、つまり四駆へと進化。オマケに後輪操舵まで付いているのでガッチリとしていて、サイズ以上にクイクイ曲がる。

意外な実用バランスを持ったドイツのスーパースポーツなのだ

 インテリアクオリティやデジタル性能は、高級セダンEクラス顔負けの本革マテリアルや縦型の大型11.9インチセンターディスプレイを装備し、走るスマホ的性能までアップグレード。

 このオーバー2000万円級スーパースポーツの世界は、実用的なポルシェから走るアートたるフェラーリまで百花繚乱。その中で新型GTクーペに乗ると、本格的な走り味が堪能できる同時に、予想以上に便利でモダンなことに気付く。メルセデスは日本でもディーラー店舗数は多いし、その辺りの安心感信頼性においてもイタリアンブランドの比ではない。

 もしや旦那さんは最新フェラーリに乗り、奥さまは買い物にも使えるAMG GTクーペに乗る! そんなユニークなセレブカップルも探せばいるかもしれない。そう思ってしまうくらいの、意外な実用バランスを持ったドイツのスーパースポーツなのであった。

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