著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

半導体メモリー大手キオクシアには「前門の虎、後門の狼」に…上場後に待ち受ける“2つの難題”

公開日: 更新日:

 半導体メモリー大手キオクシアホールディングス(旧・東芝メモリ)が12月18日に上場する。時価総額は7500億円規模となる見込みだ。調達資金は、生成AI(人工知能)の普及で需要が高まるデータセンター向け最先端半導体メモリーの増産投資に充てられる。

 キオクシアは当初、10月までの上場を目指したが、株価やメモリー市況の悪化を受けて先延ばしとなっていた。今回、メモリー市況も来年から回復すると判断し、年内の上場に踏み切ることにした。

 時価総額は当初見込んだ1兆5000億円規模から大幅に減るが、上場を優先した。同社株式の56%を保有する米投資ファンドのベインキャピタルや、41%を持つ東芝が一部を売却するとみられる。 

 キオクシアは北上工場(岩手県北上市)の新棟を2025年秋に稼働する計画で、先端品の半導体開発・製造には多額の資金が必要となる。上場することで銀行借り入れ以外にも資金調達手段を広げたい考えだ。

 だが、今回の上場に対する市場の見方は厳しい。「キオクシアは4年前の20年に東京証券取引所に上場を承認されていたが、米中の貿易摩擦の激化で、不透明感が強まっていることなどを理由にIPO(株式公開)を延期した経緯がある。当時の時価総額は1.7兆円だった。時間をロスしたうえに、調達金額は半分にも満たない」(大手証券幹部)というのだ。背景には「韓国半導体大手」と「トランプ大統領復帰」という2つの大きなリスク要因がある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    PR会社社長ダンマリ一転、全部ブチまけ“逆襲”の可能性…note投稿は斎藤知事と事前合意済みか

  2. 2

    斎藤元彦知事の選挙収支報告書で露呈した“隠蔽工作”の跡 PR会社への支出は代表務める政治団体経由という不可解

  3. 3

    杉田水脈がハシゴ外され参院転出に“赤信号”…裏金非公認の免罪符「政倫審」弁明は現職のみ

  4. 4

    不動産投資信託「J-REIT」低迷のワケ…マンションさらに高騰、オフィスも堅調なのにナゼ?

  5. 5

    「日本電解」経営破綻が波紋…上場企業では今年初、再建の道筋いまだ見えず

  1. 6

    自民裏金議員にまた公選法違反疑惑…福島地盤元職の関係先が家宅捜索されたと地元紙スッパ抜く

  2. 7

    企業・団体献金「廃止」を拒む組織内議員の実態…前回参院選直前には労組関連から5.3億円

  3. 8

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 9

    京成電鉄がオリエンタルランド株を一部売却…背景にある英アクティビストとの熾烈な駆け引き

  5. 10

    自民党ニンマリ…参院「裏金議員27人」出席の政倫審をNHKは“9時間”生中継するのか?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  5. 10

    中山美穂さんが「愛し愛された」理由…和田アキ子、田原俊彦、芸能リポーターら数々証言