「カラオケの鉄人」に問われるのは創業者の手腕…市場は縮小化、多角化で再浮上図れるか

公開日: 更新日:

「19年度からM&Aで多角化を強化してきた。だが、ラーメン店や美容サロンなど、コロナ禍で影響を受けた業態が多く、カラオケ事業のリスク分散にはならなかった」(同)

■カラオケ事業はピーク時の半分

 なお、これまでの危機では創業者である日野洋一氏が手を差し伸べてきた。18年8月期には前年度の減損損失が尾を引いて債務超過になったが、日野氏の資産管理会社、ファースト・パシフィック・キャピタルを割当先とする第三者割当増資でこれを解消した。20年8月期にも再び債務超過に陥り、同資産管理会社が15億円を出資して鉄人化HDを救った。20年度の出資により、資産会社の持ち分は約40%から60%超まで上昇している。

「日野氏は14年に会長を退任したが、資産管理会社を通じて影響力を行使してきた。過去には社長を解任させたことがある。15億円の出資で影響力はさらに高まった」(M&A関係者)

 危機を回避したが、業績回復は道半ば。今年度のカラオケ事業は半期の時点で売上高20億円とピーク時の半分程度だ。飲食事業と美容事業は伸びているが、各9億円と規模は小さく、利益率も低い。

 コロナ禍以降、市場縮小が進むカラオケ事業は再成長が期待できない。多角化で再浮上できるか、日野氏の手腕が問われている。

(山口伸/ライター)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • ビジネスのアクセスランキング

  1. 1

    ダルトンがあすか製薬へのMBOを断念…最高投資責任者が送っていた無礼なメールと素人じみたミス

  2. 2

    くも膜下出血で早逝「ブラックモンブラン」41歳副社長の夫が遺してくれたもの…妻で竹下製菓社長が告白

  3. 3

    ロピア(上)カトパンの夫が社長就任後に急成長 イトーヨーカ堂の7店舗を手に入れる

  4. 4

    コメ兵が今期売上高を2000億円と予想も…急成長の裏では少なくない代償が

  5. 5

    元テレ東・高橋弘樹×元横浜DeNA・高森勇旗「見込みのない新規事業の止め方」…虚栄心で突き進む社長を誰が“殺す”のか?

  1. 6

    「ブラックモンブラン」竹下製菓が最大の危機に…事業拡大の矢先、右腕の夫と会長の父に先立たれ

  2. 7

    クリーク・アンド・リバー社 井川幸広会長(1)プロフェッショナル人材の生涯価値の向上を掲げて全面サポート

  3. 8

    トランプ政権もう不協和音?イーロン・マスク氏「ソフトバンクはカネがない」と78兆円AI投資に疑義の本音

  4. 9

    フルッタフルッタ 長澤誠社長(1)アマゾンフルーツの“スーパーフード”アサイーをいち早く日本に紹介

  5. 10

    ジャック製菓 中野幹社長(1)就職内定を辞退して家業を継いだ3代目 ラーメン菓子「ヤッター!めん」が大人気

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発