春闘賃上げ率は3期連続の上乗せならず…関税と物価高で企業業績はますます不透明に
今年の春闘は経団連が5月22日、定期昇給とベースアップを合わせた大手企業の賃上げ率を5.38%(1万9342円・前年5.58%)とする回答を発表。2年連続で5%台の水準を維持したものの、前年比上乗せの賃上げ率とはならなかった。
一方、労働組合3809組合の平均賃上げ率は5.32%(1万6749円)と前年を0.15ポイント上回り、33年ぶりの高水準となった昨年に続く高水準を維持した。大手、中小とも高水準の賃上げで、名目賃金にあたる現金給与総額が増えたことは間違いないのだが豊かさを実感するまでには多くの難題が控えている。
まず高止まりや上昇傾向が続く物価だ。厚生労働省が5月22日に発表した2024年度の物価変動を除いた実質賃金は、前年度比0.5%のマイナスと3年連続で前年度を下回った。現金給与総額は月額34万9388円と前年度から3%増えてはいるのだが、消費者物価指数が3.5%増で物価の上昇が賃金に追い付かない状況が続いているのである。この4月の消費者物価指数は3.6%増と前月比でも0.1%上昇している。