春闘賃上げ率は3期連続の上乗せならず…関税と物価高で企業業績はますます不透明に

公開日: 更新日:

 そして、さらに日本企業の業績に大きな影響を及ぼしてくる日米貿易交渉の行方だ。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次エグゼクティブ・フェローが厳しい口調で指摘する。

「成長率0%の時代に、賃金はすでに上限にきている。今年の賃上げの話より問題は来年です。米政府は自動車だけでなく部品まで25%の関税を発動しています。このまま25%の関税が続けば日本企業が稼ぐ環境がなくなる。稼げなければ賃上げはペースダウンし、物価の高止まりのなか、現在マイナスの実質賃金のマイナス幅はさらに大きくなる」

 日米貿易交渉の中心となるのが自動車だが、各自動車メーカーへの影響は多大だ。対米向けの自動車の輸出金額は6兆円(28.3%)で輸出全体の3分の1を占め、自動車部品は1.2兆円に上り5.8%を占める。

 トヨタ自動車は米側の関税政策の影響を4、5月の2カ月で1800億円の押し下げ要因と発表。ホンダは6500億円、日産自動車4500億円、スバル3600億円としている。2カ月の影響でこれだけのコスト要因がかかるのだ。25%の関税が1年間続くとなると各社大幅な減益を迫られることになる。関税で受ける業績悪化は自動車業界だけでなく日本企業全体に影響を及ぼすことになる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    サントリーHD会長を辞任!新浪剛史氏の意外な私生活、趣味は「極妻」鑑賞と…違法薬物めぐり家宅捜索

  2. 2

    サントリーHD新浪会長宅ガサ入れはすでに噂されていた? 報道より1週間先行していたX投稿に注目集まる

  3. 3

    新浪会長の違法薬物疑惑でサントリーHDに激震!辞表提出を暗に迫った“追放劇”で深まる対立

  4. 4

    市場は早くも「高市トレード」だが庶民に恩恵なし…サナエノミクスが招く株高・物価高の暗澹

  5. 5

    サントリーHD新浪前会長に進退を「委ねられた」同友会の当惑…違法薬物疑惑に潔白強調、代表幹事は辞めず

  1. 6

    トランプ氏が大統領令に署名でもナゾのまま…日米交渉最大の焦点「対米投資81兆円」が本当に意味すること

  2. 7

    「対米投資80兆円」にくすぶるトランプ政権の罠…関税合意に正式署名も波乱含み

  3. 8

    出所後カジノで9億円を失い…大王製紙元会長・井川意高氏が明かす「バカラED」

  4. 9

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

  5. 10

    新浪剛史会長が同友会会見で“号砲”…フジテレビ「CM再開」に前のめり、サントリーにもお家事情

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「ブラタモリ」抜擢の桑子真帆アナ “金髪チャラ系”の大学時代

  2. 2

    巨人に漂う不穏な空気…杉内投手チーフコーチの「苦言連発」「選手吊るし上げ」が波紋広げる

  3. 3

    大の里、豊昇龍の両横綱も戦々恐々…「新怪物」加入で躍進止まらぬ伊勢ケ浜部屋の巨大戦力

  4. 4

    82歳で死去の橋幸夫さんが日刊ゲンダイに語っていた「佐川急便事件」と「統一教会」のバッシング報道

  5. 5

    星野監督は中村武志さんを張り倒した直後、3ランを打った隣の俺にも鉄拳制裁…メチャクチャ痛かった

  1. 6

    御三家の生き残り舟木一夫の“傷だらけの人生”と、兄貴分だった故・橋幸夫さんも太鼓判のサバイバル術

  2. 7

    小祝さくらは「加齢の影響」漏らしていた…ツアー6週連続欠場の深刻度

  3. 8

    (1)身内すらも“監視し欺く”情報統制…機密流出犯には厳罰、まるで落合博満監督のよう

  4. 9

    元幕内照強の“しょっぱい犯罪”に角界も呆れた…トラブル多数現役時代の「ヤンチャ」な素顔

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋