「バルミューダ」は第1四半期は赤字転落…リストラで削った開発力で苦境続く
「10万円台のスマホを発売したが、iPhoneと同価格帯なのに性能は中華スマホ並み。軽量化を売りにするためにバッテリーを小さくしたので、電池の減りが早いなど、性能面で顰蹙を買った」(同)
コロナ禍以降、スマホの売り上げがゼロとなった上に、空調関連の売り上げも減少した。24年度の全体売上高は、冒頭の通りピーク時から3割減少している。
国内に次ぐ韓国市場の売り上げもピーク時から半分の20億円台を推移。キッチン関連は90億円台を維持しているが、目新しい製品を出せていない。
「扇風機やトースターなど、以前から出ている製品のリニューアル版が目立つ。『リベイカー』は価格を2万円台に抑えているが、売りのスチーム機能をなくしてしまった。新製品は2年前に発売したホットプレートくらい。経営難でリストラを進め、開発力をそいだのだろう」(同)
21年度の営業利益は15億円だが、減収で翌年には1億円を下回り、23年12月期は純損益20.7億円の赤字となった。24年同期はかろうじて黒字になったが、25年第1四半期は再び3億円の赤字転落。業績悪化に伴い経費は削減され、年間の試験研究費もわずか3億円前後とスズメの涙。社員数もピーク時の168人から、現在では約100人に減少した。
バルミューダは工場という資産を持たないファブレスメーカーであり、自己資本比率は7割と財務水準は優良だ。しかし年間3億円の試験研究費では既製品のデザイン変更しかできないだろう。これでは新製品の開発に難儀しそうだ。
(ライター・山口伸)