書店生き残りの秘策は「滞在型」と独自路線…政府も活性化プランで支援
政府は6月10日、「書店活性化プラン」を公表した。2014年から24年の10年間で約4000店の書店が減少したことを踏まえ、書店に対して補助金による支援を行う内容である。具体的には、新規事業のためのリノベーション、RFID機器の導入、M&Aなどを支援対象としている。
出版不況が叫ばれる中、全国の書店数は減少が続いてきた。03年に2万店を超えていたが、今年5月時点で1万347店舗となっている(一般社団法人JPO調べ)。
ある出版社関係者は「活字離れとはいうが、本よりも週刊誌を中心とした雑誌離れの影響が大きい。ネットやスマホの普及で他の娯楽に流れ、雑誌頼りの小さい書店は淘汰された。電子書籍へのシフトも進んでいる」と指摘する。
出版科学研究所によると、出版物の売り上げはピーク時の1996年には雑誌が約1.6兆円、書籍が1.1兆円だったが、24年には雑誌が4119億円、書籍が5937億円となった。雑誌は3分の1以下まで縮小し、書籍と売り上げが逆転した。
ただし、直近では状況が好転しているという。負債1000万円以上の法的整理を集計した書店の倒産件数は、08年の48件から減少傾向にあり、今年1月から5月では過去最少の1件となった。これは前年同期の11件を大きく下回る(帝国データバンク調べ)。文具や雑貨の取り扱い、カフェ併設など、「滞在型」へのシフトが功を奏したとみられる。