書店生き残りの秘策は「滞在型」と独自路線…政府も活性化プランで支援
帝国データバンクの飯島大介氏は、「『滞在型』の売り場づくりを目指す動きが広がった。24年にかけて多くの書店が本を並べるだけのビジネスから転換を図ろうとしており、滞在型書店がひとつの解決策になった可能性がある。これまで多くの書店が廃業や倒産で淘汰されており、『淘汰が一通り終わった』と見ることもできる」と分析する。
■進む他業態への切り替え
大手書店でも、書籍販売の面積を縮小し、他業態に切り替える動きが見られる。TSUTAYAを運営するCCCは、05年にスターバックスとライセンス契約を締結し、「蔦屋書店」などスタバ併設の店舗を出店してきた。丸善や紀伊国屋書店も雑貨売り場を設置している。イオン傘下の未来屋書店は一部店舗でコワーキングスペースを設けている。
飯島氏は、「大手書店の進出が進み、1店舗あたりの大きさは以前より拡大した。一方、『街の書店』は古本や趣味系などの特徴や店主のこだわりを前面に押し出すことで、画一的な大手との差別化を図るケースが見られる」と述べる。
小規模店の中には、旅行や動物関連の本に特化した店舗や、SNSでファンとつながる店舗も存在する。出版物市場の縮小が続く以上、「純書店」として経営していくことは難しく、大手も街の書店もそれぞれに工夫が求められているのが現状である。
(ライター・山口伸)