著者のコラム一覧
森岡英樹経済ジャーナリスト

1957年生まれ。早稲田大学卒業後、 経済記者となる。1997年、米コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年にジャーナリストとして独立。

生保出向者に相次ぐ内部情報漏洩に銀行ダンマリ…むしろ“財界天皇”を心配する不思議

公開日: 更新日:

金融村では「コップの中の嵐」?

 そもそもなぜ、銀行は生保からの出向者を受け入れていたのか。「出向者を通じて保険に関する知識・ノウハウを吸収し、人材を育成するのが目的だった。出向者は母体生保で優秀と評価されている人材が派遣されていた」と前出のメガバンク幹部は話す。今回の問題を受け、大手行では出向受け入れを停止することを決めた。

 だが、意外にも銀行界から日本生命や第一生命に対する厳しい批判はあまり聞かれない。持ち出された情報が営業機密に該当すれば不正競争防止法に抵触する懸念があるにもかかわらずだ。

 銀行と生保は、保険の窓口販売を通じて緊密な関係にあるほか、「1990年代後半の金融危機時に、不良債権処理で経営危機に瀕した大手銀行に資本を提供してくれたのは生保さん。元来、金融村では親密な関係で、階層ごとに横の連絡は密にある。人材交流もその一環でもある」(同)というのだ。

 むしろ、銀行側が気にしているのは、5月に経団連会長に就いたばかりの筒井義信氏(日本生命前会長)のこと。金融界から初の財界天皇だけに、「母体での情報漏洩でやりにくいのではないか」(同)と、おもんぱかっているほどだ。生保出向者による銀行の内部情報の漏洩は、金融村では「コップの中の嵐」に過ぎないようだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    巨人・岡本和真がビビる「やっぱりあと1年待ってくれ」…最終盤に調子を上げてきたワケ

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  5. 5

    ドラフト外入団の憂き目に半ば不貞腐れていたボクを最初に見出してくれたのは山本浩二さんだった

  1. 6

    高市早苗氏の「外国人が鹿暴行」発言が大炎上! 排外主義煽るトンデモ主張に野党からも批判噴出

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆の「メジャー契約金」は何億円? DeNA戦で市場価値上げる“34戦18号”

  3. 8

    概算金が前年比で3~7割高の見通しなのに…収入増のコメ生産者が喜べない事情

  4. 9

    権田修一が森保J復帰へ…神戸サポもビックリ仰天“まさかの移籍劇”の舞台裏

  5. 10

    マツコはやっぱり怒り心頭だった…“金銭トラブル”前事務所社長を「10億円提訴」報道