住民投票にはわが国の最高法である憲法上の拘束力がある
アメリカ独立宣言を引用するまでもなく、国家も地方自治体も、そこに生活する個々の人間の幸福追求を支援するためのサービス機関にすぎない。そして、国家として一律に保障すべき行政事務と地域の特性に合わせたきめ細かな行政事務をそれぞれに提供するために、両者は役割を分担しているのである。
そこで、改めて今回の問題を分析してみると次のようになろう。まず、わが国の安全保障を確実にするために日米安保条約が不可欠だという前提は争わないでおこう。しかし、だからといって、そのための負担を下から4番目に小さな県に7割以上も押し付けていていいはずはない。そこに住民が反発して当然である。だから、政府としては、憲法の趣旨に従って、「少なくとも県外への移設」を追求すべき憲法上の義務があるのだ。