猛威奮う新型肺炎 国内「ヒト・ヒト感染」厳戒スポット
中国・武漢市発の新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が加速している。中国政府によると、北京市で死者1人が確認され、中国国内の死者は82人となり、発症者は2800人以上に上っている。習近平政権は武漢市をはじめとする15都市の封鎖や海外への団体旅行禁止に続き、今月30日までだった春節休暇を2月2日まで延長する異例の措置を発動。安倍政権は28日の閣議で感染症法上の「指定感染症」に決定したが、訪日中国人はすでに大挙してやって来ている。危ないスポットはどこなのか。
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春節期間には中国では延べ30億人が移動し、すでに500万人以上が武漢市を離れているという。例年、この時期の訪日中国人は約70万人。団体旅行客にストップがかけられたとはいえ、もはや焼け石に水だ。
山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)は言う。
「日本国内の発症者が4例目となり、政府が水際対策に失敗したのは明らかです。ベトナムでは二次感染にあたるヒト・ヒト感染が確認されている。日本で発症した4人は武漢市からの旅行者などですから、一次感染で食い止められるかが勝負です。感染予防には『濃厚接触』に気を付けること。明確な基準はないものの、1・1~1・5メートルの至近距離で30分以上過ごす場合が該当すると考えていいでしょう。同じ空間で過ごす時間が長い家族や職場の同僚、あるいは感染者の治療にあたる医療従事者は特段の注意が必要です。電車やバス、新幹線や飛行機など、長時間乗り合わせる可能性が高い状況はできれば避けたいものです」
となると、リスクが潜むのは中国人観光客に人気のエリア。東京では銀座や秋葉原、大阪や京都は定番だ。中国検索大手のバイドゥの「2019年訪日中国人の検索動向ランキング」によると、都道府県では
①北海道
②東京都
③京都府
④沖縄県
⑤大阪府
の順で多かった。中国人はSNSを通じた口コミ重視で旅行プランを練る傾向が強いとされている。
観光地・名所は
①河口湖
②富士山
③東京スカイツリー
④皇居
⑤お台場
――の順。大阪は昨年1位からランクを落としたが、「心斎橋」「梅田」などの買い物スポットの検索数は依然として多く、「軽井沢」「伊豆」「川越」「横須賀」「横浜」などの東京から近い観光スポットの検索数上昇も顕著だという。昨年の改元効果で「皇居」への関心が高まり、「二重橋」の検索も多かった。
寺では
①浅草寺
②清水寺
③金閣寺
④東福寺
⑤本能寺
島は
①八景島
②江の島
③小豆島
④淡路島
⑤直島
という結果だった。
ちなみに、東洋経済オンラインの〈中国人に人気の「関東地方の観光地」トップ30〉(2019年5月15日配信)によると、上位は次の5カ所だ。
①東京ディズニーランド
②東京ディズニーシー
③東京駅
④上野公園
⑤浅草寺
武漢在住邦人はチャーター機で一斉帰国
一方、完全封鎖された武漢市がある湖北省には邦人560人が在住。安倍政権の音頭取りであす以降、希望者の帰国を支援するチャーター機を派遣。医師と検疫官が同乗し、機内で検疫を行うという。
「感染拡大を防ぐには帰国者の管理は避けられません。少なくとも1週間は医療施設などに収容して経過観察し、問題ないとの判断が出てから帰宅させる。検疫のイロハのイです」(中原英臣氏=前出)
すでに対応は後手後手だが、乗り切れるのだろうか。