京大教授藤井聡氏 大阪都構想は維新への信任投票ではない
大阪市を廃止するのか、しないのか――。「大阪都構想」の是非を巡る住民投票(投開票11月1日)が真っただ中だ。2015年の住民投票で一度否決されたにもかかわらず、大阪維新の会と公明党がタッグを組み、再び提案。そんな都構想の危険性について警鐘を鳴らし続けているのが、この人だ。終わったはずの構想がなぜ復活したのか、大阪再興のカギとは何か。ざっくばらんに語ってもらった。
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――都構想について、「大阪が都になる」と誤解している人もいます。
最大の問題は、住民投票の対象が、“都”構想ではないということ。「大阪を都にする構想」と解釈されがちですが、これがすでに間違い。多くの人が中身をあまり考えずに、言葉のイメージだけで大阪が発展するもんだと思って、何となく支持してしまっています。
――肝心の中身は何でしょう。
大阪市の選挙管理委員会のホームページを見ていただくと、「大阪市廃止・特別区設置住民投票」と書いてある。実態は、市を潰して4つに分割するという話なんです。まず、この事実が知られていない。今回の住民投票の趣旨を正確に判断するためには、「大阪都構想」と呼んではいけないのです。市廃止と特別区設置について賛否を問うているのですから。
――5年前から都構想をゴリ押ししているのが大阪維新です。
都構想への賛否が維新の政治への賛否と重複して理解されていますが、今回の住民投票を維新への信任投票だと思わないことが大事です。維新への賛否と市廃止への賛否は全く別の問題。有権者の方には、何の賛否なのかをしっかりご理解いただきたい。名前で何となく賛成してしまう、維新が賛成だから賛成してしまう人は、都構想の中身をほとんど知らないのでしょう。
――市がなくなる可能性があるのに、なぜ中身が知られていないのでしょう。
推進派が説明をしていないからでしょう。5年前の住民投票の時に、推進派は「テレビや車を買う時に中身は見ない」「この車が使いやすいか、テレビが見やすいかどうかで考えるんだから、中身は見なくてもいい」「信頼してください」などと説明していた。そうしたことが繰り返されています。