林真須美の長女が飛び降り…和歌山カレー事件の舞台は今

公開日: 更新日:

 1998年に起きた和歌山毒物カレー事件に再び注目が集まっている。殺人罪などで09年に死刑が確定した林真須美死刑囚(59)の弁護人を務める生田暉雄弁護士(79)が、5月31日付で和歌山地裁に再審請求を申し立てたことが理由の一つ。さらに6月9日午後、大阪府泉佐野市の関西国際空港連絡橋(関空連絡橋)から母子が飛び降りて亡くなったが、その後、搬送先で死亡が確認された37歳の女性とその次女と見られる4歳女児が、林真須美死刑囚の長女と初孫であることが報じられた。

 あれから23年、カレー事件があった和歌山市園部にあった林死刑囚の自宅はすでに、取り壊され、跡形もなくなっていた。土台だけは残っており、この場所であの事件が起きたのか、と一気に当時の喧騒が甦ってきた。跡地は公園になっており、かろうじて花は植えられていたが、雑草が生い茂り、整備されているとは言い難い状態であった。

 何人かの住民に話を聞いてみたが、あまり当時のことを話したくないのか、みな口をつぐんでいた。取材に応じてくれたお年寄りたちもいたが、「あがいても意味ないやろ」、「死刑になったら逃げれるだけや、一生刑務所で罪を償えばいいんや」と林死刑囚の再審請求に対して辛辣な言葉を口にした。元自宅跡地から用水路を挟んだ場所には、新しい住宅街が広がり、時の移ろいを感じざるを得なかった。しかし、地域の人々にとっては、時を経ても、忘れることはできない心の傷には変わりないのだろう。

長女のマンション住人は「どんな人か知らない」

 自殺した長女が住んでいたマンションにも足を運んだ。マンションは、比較的こぎれいで、若い夫婦と小さな子どもの世帯が多い。一階の庭先では、親子が遊んでおり、その親に声をかけてみたが、「知らないです」と、扉を閉められてしまった。他の住民たちも「あんまり知らない」、「どんな方が住んでいるのか、全く知らないんです」と語った。大きな怒鳴り声などは聞いたことがないという住民ばかりだった。

 そんな中、マンションのオーナーに聞くことができた。しかし、「(長女は)最近引越してきたばかりなので、何もわからないのです」とだけいい、扉を閉められてしまった。

 林死刑囚の長女の自宅のベランダには、子ども用のシーツが干され、玄関には子どもの遊び道具がいくつも置かれていた。長女が暮らしていたマンションは林死刑囚の元自宅跡地から車で約10分の場所にある。あんな事件がなければ、林死刑囚もおばあちゃんとして孫の育児をサポートしていたのだろうか。

(取材・文=中西美穂/ジャーナリスト)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新の政治・社会記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    プーチン大統領の最側近で軍参謀総長「行方不明」報道の不気味…粛清かケガ療養か

    プーチン大統領の最側近で軍参謀総長「行方不明」報道の不気味…粛清かケガ療養か

  2. 2
    あの国営放送が“プーチン戦争”批判を展開!ロシアでいま起こっていること

    あの国営放送が“プーチン戦争”批判を展開!ロシアでいま起こっていること

  3. 3
    プーチン大統領哀れ四面楚歌…北欧2カ国NATO加盟に余裕の笑みも軍事同盟国が“仲間割れ”

    プーチン大統領哀れ四面楚歌…北欧2カ国NATO加盟に余裕の笑みも軍事同盟国が“仲間割れ”

  4. 4
    チケット大量カラ予約で注目…日本体操界が直面する内村航平と村上茉愛の大き過ぎる穴

    チケット大量カラ予約で注目…日本体操界が直面する内村航平と村上茉愛の大き過ぎる穴

  5. 5
    ウッズの全米プロ“下見ラウンド”にツアー仲間から批判の声 クラブプロ帯同しコース情報入手

    ウッズの全米プロ“下見ラウンド”にツアー仲間から批判の声 クラブプロ帯同しコース情報入手

もっと見る

  1. 6
    巨人4番・岡本和が21打席連続無安打…大不振に「2つの要因」元師匠・内田順三氏が指摘

    巨人4番・岡本和が21打席連続無安打…大不振に「2つの要因」元師匠・内田順三氏が指摘

  2. 7
    綾瀬はるかと木村拓哉は惨敗か…ドラマに必要なのは「この先どうなるか」の期待感

    綾瀬はるかと木村拓哉は惨敗か…ドラマに必要なのは「この先どうなるか」の期待感

  3. 8
    日本ハム野村佑希が顔面死球で流血退場してもアッサリ 新庄監督の怖いくらいの“シビアな目”

    日本ハム野村佑希が顔面死球で流血退場してもアッサリ 新庄監督の怖いくらいの“シビアな目”

  4. 9
    華原朋美「男を見る目」だけは涵養されず…離婚ほぼ一直線で歌手活動にまた支障

    華原朋美「男を見る目」だけは涵養されず…離婚ほぼ一直線で歌手活動にまた支障

  5. 10
    山下智久「正直不動産」が絶好調! その裏に透ける不動産業界の“不正直事件”

    山下智久「正直不動産」が絶好調! その裏に透ける不動産業界の“不正直事件”