高市首相が招いた「対中損失」に終わり見えず…インバウンド消費1.8兆円減だけでは済まされない

公開日: 更新日:

パンダはもう来ない

 日本政府関係者は中国の報復措置が過熱し、レアアースの輸出規制への発展を危ぶんでいるが、柯氏は「日本メーカーの多くは過去に輸出規制された反動からレアアースのリサイクル技術を手に入れています。また、中国の対米レアアース輸出の規制強化が、米中間の合意で1年延期となり、いざとなれば米国経由で調達可能です」と指摘する。

 その上で柯氏が最も警戒する中国側の報復措置は「中国を訪れる日本人の短期滞在ビザ(査証)の免除停止」だ。

「現状は滞在期間30日以内なら、ビザなしで渡航可能ですが、停止となれば出張族には厄介です。他にも日中間のあらゆるレベルの交流が阻害され、多くのビジネスチャンスが潰れかねません。いずれにしても、中国政府の要求通り高市首相が答弁を撤回すれば、ますます中国側はツケ上がる。中国側にもメンツがあり、お互い一歩も譲れぬ膠着状態の長期化は免れません。確実に言えるのは、しばらく日本にパンダはやって来ないということです」(柯氏)

 国内のパンダは東京・上野動物園の双子2頭のみ。来年2月には中国への返還期限を迎え、飼育継続の許可が下りなければ、いよいよ国内不在となる。高市首相の不用意な答弁は「日中友好のシンボル」まで奪うのか。

  ◇  ◇  ◇

 「台湾有事は日本有事」が持論の高市首相。中国との関係は悪化の一途だが落としどころはあるのか。●【関連記事】『「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得』で詳報している。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    N党・立花孝志容疑者にくすぶる深刻メンタル問題…日頃から不調公言、送検でも異様なハイテンション

  4. 4

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  3. 8

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  4. 9

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  5. 10

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち