著者のコラム一覧
片岡健ノンフィクションライター

1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、ノンフィクションのライターに。新旧様々な事件を取材し、新事実や冤罪を発見している。著作に『平成監獄面会記』、同書が漫画家・塚原洋一氏によりコミカライズされた『マンガ「獄中面会物語」』(共に笠倉出版社)、『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(リミアンドテッド)など。最新刊は2026年4月発行の『実録 死刑囚26人の素顔』(宝島SUGOI文庫)。

大崎事件 再審を取り消した裁判長が11年ぶりの直撃取材に見せた弱気

公開日: 更新日:
左が岡村稔氏(撮影)土谷善則氏

 鹿児島県の大崎町で1979年10月、牛小屋の堆肥の中から中村邦夫さん(当時42)という男性の死体が見つかった「大崎事件」。殺人罪などに問われ、一貫して無実を訴えながら懲役10年の刑に服した原口アヤ子さん(98)の弁護団が今月8日、5回目の再審請求を鹿児島地裁に行った。冤罪を疑う声は多く、審理の行方が注目される。

  ◇  ◇  ◇

「いろんなところからいろいろ言われますけれども、もう、あの、お答えしないようにしているんですよ。もう決定を出しているところで、あの、全部お話ししてますから」

 今月13日、その男性は電話口で、大崎事件に関する私の取材依頼をそう断ってきた。男性は現在、埼玉県坂戸市で弁護士をしているが、以前は裁判官だった。うろたえたような話し方は、自信のなさの表れだと思えた。

 男性は岡村稔氏(82)。2004年12月、原口さんの再審を取り消す決定をした福岡高裁宮崎支部の裁判長だ。

 大崎事件は、そもそも本当に殺人事件なのかが疑わしいといわれている。というのも、 

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