本田圭佑「虚像と実像」(15)「ネガティブなことは書くな!」

公開日: 更新日:

「その日の練習内容を振り返るに当たって《反省欄》には『ネガティブなことは一切書くな。自分にとってプラスになることしか書くな!』と伝えました。あの先生の言うことはダメ、あのコーチは分かってない、というような人の悪口を書くことは言い訳に過ぎません。とにかくプラス思考を持ち続けろ、と。圭佑にはそうアドバイスを送りました」(大三郎)

 本田は大叔父の指示に素直に従った。1日1ページ。どんなに体が疲れ眠くても、寝る前には必ずノート取りを忘れなかった。星稜高を卒業するまでに取ったノートは数十冊に膨れ上がった。

 本田ファミリーに伝わる「ノート取り」の効能を多聞はこう説明する。

「ノートを取るということは、その日に《もう一回、練習を繰り返したことと同じような効果がある》と思います。なぜならノートに正確に書き入れるには、その日の練習の記録を丹念にたどっていかないといけないからです。調子が悪い時に見直すと原因が見えてくるという利点もあります。圭佑君も、そうやってノートを有効利用していたと思います。彼のノートを実際に見たわけではありませんが、星稜高3年の時にキャプテンになった際には、チーム用と自分用のノートを作っていたそうです。2年ほど前でしょうか、直接会って話をしましたが、彼は物腰が柔らかく、テレビを通して伝わってくるイメージとは違った。真面目で律義な性格だから、小さい頃からノートを書き続けられたのかも知れません」

 大言壮語にしか聞こえず、負け惜しみにしか思えない時もある。それでも常にポジティブな言動で自身のベクトルを「前向き」に定めたことで今の本田圭佑がある。通称「本田ノート」は、今でも本田の心の支えになっている――。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝