球場から畑へ 元巨人中継ぎエースが亡き妻と歩む“農業の道”

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 亡き妻への思いと努力は少しずつ報われた。

 失敗を重ねながらも地道に販売ルートを拡大、近隣農家と連携した結果、河野さんの扱う“げんちゃん玉ねぎ”は「化学肥料を使わない安心たまねぎ」として地元で徐々に人気になった。今では生産量が毎年伸び続け、昨年は農業を始めた12年(60トン)の約3倍となる170トンに到達。都内大手スーパーでも購入できる販路も築いた。その一方、オリジナル玉ねぎを使った料理を提供する居酒屋を地元にオープンさせるなど、着実に事業を成長させている。

「TPP合意で日本には今後、安い野菜や果物が入ってくる。日本の農家は厳しさを増しますが、いいものを作れば必ず消費者は買ってくれる。私の挑戦は始まったばかりですけど、来年からはオリジナルの長ネギも販売する予定。将来的には、こうした野菜で世界進出したい。高齢化が進む日本の農業の発展につながりますし、何より闘病中に大したことができなかった妻への恩返しにもなりますからね」

▽こうの・ひろふみ 1962年4月、高知県生まれ。明徳高、駒沢大を経て84年ドラフト1位で日本ハムに入団。95年オフに巨人に移籍し、00年にロッテで1年間プレーした後に現役引退。09年から農業に従事。13年に株式会社げんちゃん設立。現在に至る。プロ通算成績は462試合54勝72敗15セーブ、防御率3・93。身長172センチ。左投げ左打ち。

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