巨人・鹿取GM 長嶋氏にも盾突いた“いごっそう”エピソード

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■母親を伴って仲人のお願い

 巨人OBの評論家、高橋善正氏も「筋が通った骨のある男」と言う。高橋氏は高知商の先輩にあたり、鹿取GMが明大から巨人にドラフト外で入団した当時の投手コーチでもある。

「鹿取が入団1年目を終えた秋、『地獄の伊東キャンプ』と言われる猛練習をやった。朝から晩までしごきまくったわけですが、『次、ダッシュ50本!』と指示を出すと、江川(卓)や角(盈男)なんかが、『えーっ、死んじゃいますよ』なんてブーブー言うわけです。『ん、なんか言ったか? はい、卓と角は10本追加!』なんてやってる中で、黙々と淡々とついてきたのが鹿取だった。投手としても、余計なことは言わずに、与えられた仕事をしっかりこなす。コーチとしては頼もしい選手でした」

 高橋氏が「こんなこともあった」と続ける。

「ある年のシーズン中、私のところに来た鹿取が『結婚します。つきましては、先輩、仲人をお願いできませんか』と言うのです。ガラじゃないと思って、『そういうものは、監督とか大学、高校の恩師に頼め』と2度、いや、3度断った。しばらくなにもなかったので諦めてくれたかと安心していると、オフになって私の自宅の呼び鈴が鳴った。玄関のドアを開けると、そこに鹿取が立っている。しかも、隣には高知から呼び寄せたお母さんもいるんです。お母さんにまで頭を下げられたら、さすがに断れない。頑固というか、こうと決めたら、それを貫く意志の強さはありますね」

 長嶋、原両監督にもそうしたように、鹿取GMが「土佐のいごっそう」ぶりを発揮し、球団や読売上層部の横やりもはねつけられるようなら、期待は持てるが……。

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