著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

イチローに大統領自由勲章が浮上する可能性と米政府の思惑

公開日: 更新日:

 日本人選手として初めて米国の野球殿堂に入ることが確実視されているとはいえ、イチローがこれらの人物と比べて傑出した功績を残しているとは言いがたいかもしれない。

■相手国との関係改善

 それでも、あらゆる勲章が「与える側の人気取り」という側面を持つように、大統領自由勲章も多分に政治的な意味合いを含む。外国人に与える場合には、大統領自由勲章は相手国との友好親善の促進や関係改善という役割を担うし、スポーツ選手を対象とする際には大統領の庶民性の強調という意図も隠されている。

 現在の日米関係は良好とされるものの、対米依存からの脱却を要求するトランプ政権の基本的な対日政策を考えれば、「ドナルド―シンゾー」の間柄も永遠ではない。

 だからといって日本が中国やロシアとの連携を深め過ぎることは、米国にとって得策ではない。米国政府が日本を軽視していないことを明示し、米国内の有権者の歓心を買うために有効な手段のひとつが、著名人に大統領自由勲章を授与することであり、イチローは日米でともに名の知られた格好の対象となる。

 当然ながら、米国政府の思惑はイチローの意向とは関係ない。それだけに、米国政権側が利用価値を認めれば、イチローに大統領自由勲章の授章を打診することもあり得るのだ。

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