アイルランドに勝利も選手沈着 ラグビーW杯狂騒の違和感

公開日: 更新日:

「日本の快進撃は外国出身選手あってこそ」

 今回の日本代表31人の中には実に15人の海外出身選手がいる(うち7人が外国籍)。これは過去最多で、アイルランド戦でもメンバー23人のうち11人がそうだった。

「パワーに勝るアイルランドを相手にスクラム、ラック、モールの攻防で互角以上の戦いができたことも日本の勝因のひとつですが、これは外国出身選手の存在をなくして語ることはできません。特に長身かつ体格が求められるロックは日本人ではなかなか補えないポジションで、FW戦で上回ったアイルランド戦でも左ロックのトンプソン、右ロックのムーア、それに韓国出身の右プロップの具智元の働きが大きかった」(中山淳氏=前出)

 これもまた、スポーツマスコミが触れない事実だ。スポーツ紙は逆転トライの福岡、PGを4本決めた田村、ゲームMVPの堀江のことは大きく報じても、外国出身選手の働きは紙面の隅に追いやり、世界屈指のスクラムと称されるアイルランドと張り合った具の献身的な働きなどは、虫眼鏡でもなければ見つけられない小さな扱いだった。

「ラグビーは五輪やサッカーの『国籍主義』とは違い、『所属協会主義』です。国籍、血縁、地縁のいずれかを満たせば代表になれる。日本だけでなく、他国にも多くの外国出身の代表選手がいます。この多様性こそがラグビーという競技特性のひとつです。日本ではどうしても国籍や帰化という言葉で考えてしまう。だから批判的な意見も出る。島国ならではです。プロ野球の外国人選手が『助っ人』と呼ばれるのが象徴的。これだけボーダーレス化している現代において、批判が出ること自体がナンセンスだと思う。ラグビー日本代表の快進撃も外国出身選手の存在があってこそ。メディアが彼らの存在からあえて目を背けているとすれば、それこそミスリードにつながります」(中山淳氏=前出)

 まったくだ。4年前のW杯で大活躍した五郎丸は15年に<ラグビーが注目されている今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを。彼らは母国の代表より日本を選び日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ>とツイートしている。日本人の活躍だけをことさら大きく取り上げる報道には、なにより日本人選手が違和感を抱いている。

【写真特集】日本大金星!強豪アイルランドを撃破

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動