菅野G残留決定で加速 若手優良株「早期メジャー」の直訴

公開日: 更新日:

■好条件と年齢の関係

 先日、ポスティングによるメジャー移籍を目指していた巨人菅野智之(31)が残留を決断した。

 渡米してメジャー球団との交渉に臨んだものの、「100%自分で納得できるものではなかった」と話し、特に条件面で折り合いがつかなかったと明かした。

 米在住のメジャースカウトがこう指摘する。

「菅野は、2019年にマリナーズと4年約58億円で契約した菊池雄星(当時27)と同等かそれ以上の条件を希望していたといわれている。メジャーが菅野が納得する契約を提示しなかったのは、31歳という年齢に付随する何らかの理由があるはずです。菅野は以前から腰に不安を抱えているようだが、例えば契約条件を左右するような『キズ』が判明したケースも想定されます。投手として数十億円規模の大型契約を締結するとなれば、獲得に乗り出した球団はメディカルチェックで菅野の『キズ』を丁寧に調べますから」

 それで言うと、ツインズの前田健太(32)は15年オフにドジャースと8年総額約30億円プラス出来高という「格安契約」を結ばざるを得なかった。前田本人が「身体検査でイレギュラーな点があった」と話したように、古傷の存在が契約内容を大きく左右した。

「投手の肩肘は消耗品。新たにメジャー挑戦する日本人選手が好条件を得るためには、メディカルチェックに引っかからないことが重要。若くしてケガをするケースもゼロではないが、使い減りしていない若いうちに挑戦した方がいい。ダルビッシュはメジャー移籍後、28歳でトミー・ジョン手術を受けた。ある程度の年齢になると、どうしてもケガが増える。菅野は29歳シーズンの19年に腰痛を患い、成績を落としている。野手に関しても年齢は大切な要素になります」(前出のスカウト)

 いずれにせよ、日本でトップクラスの実力を誇る菅野が交渉不成立になった。これが今後、メジャー志向がある日本人選手の動向に影響するのは間違いない。

 現在、数年来にわたって球団にポスティングによるメジャー挑戦を直訴している主な選手は、ソフトバンクの161キロ右腕・千賀滉大(27)と、5年連続で3割、20本をマークするなど走攻守三拍子揃った広島鈴木誠也(26)。米球界関係者は、「基本的に千賀や鈴木のような20代のトップクラスの選手は、コロナ禍が契約条件にマイナス影響を及ぼすことはないのではないか。現行のポスティング制度は、交渉期限(申請翌日から30日間)があるものの、FAと同様に手を挙げた全ての球団と交渉できる。千賀や鈴木ならば、すぐにでも獲得したい、という球団が出てくるでしょう」。

 広島は前田や菊池らのポスティングを容認した実績がある。鈴木は順調にいけば22年オフに国内FA権を取得する。早ければ今オフにも、メジャー挑戦する可能性がある。

 一方の千賀は、ソフトバンクがポスティングを認めていない。ただ、同球団の三笠GMは昨年、千賀との契約更改後に「どんな意思決定もそうだが、一度決めたら変えないということではない」と、含みを持たせた。

コロナによる大減収

「日米間の資金力の差も、選手のメジャー志向を加速させる可能性がある」

 とは、球界OB。

「日本の球団は、入場料収入を柱としてきたが、昨季はコロナ禍により観客動員に制限がかけられ、数十億円規模の大幅な減収となった。今もコロナ感染者が増え、東京などに緊急事態宣言が発令された。今年もコロナによる減収は必至です。新たなビジネスモデルを構築しないことには、ただでさえ高いと言われる年俸を払い続ける余裕はなくなっていくでしょう」

 その点メジャーは、米国内でのコロナの状況は日本より深刻だが、各球団の経営面のダメージは日本よりもマシだともっぱらだ。昨季の無観客開催により入場料収入は大幅減になったものの、各球団は全米ネット局との放映権契約の分配金約50億円を受け取れる上に、地元のローカル放送局から莫大な放映権料が得られる。

 前出のOBが続ける。

オリックス山本もメジャー志向

「千賀や鈴木より年下の選手にも、メジャー予備軍がいる。最速158キロ右腕のオリックス・山本由伸(22)、下手投げ右腕のソフトバンク・高橋礼(25)に加え、昨季のパ・リーグ新人王の160キロ右腕の西武平良海馬(21)あたりも、メジャーが注目している。中でも山本はメジャー志向があるようです。若手選手が年齢と資金力の差を考慮し、これまで以上に早い段階で球団にメジャー挑戦の意向を直訴、米球界へと羽ばたくという流れになっても不思議ではありません」

 菅野の巨人残留は、日本人選手のメジャー挑戦の若年化を促す契機になるかもしれない。 

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    2026年夏の甲子園は「不作」を通り越して“凶作”…プロスカウトが指摘する異変の原因

  2. 2

    ヤンキースの「横浜・織田翔希獲得プラン」をスッパ抜く! キーマンに挙がる“日本人実業家”の名前

  3. 3

    夏の甲子園投手 プロ注目の4人をスカウト「ガチ評価」最注目の横浜・織田翔希には“意見”割れる

  4. 4

    佐藤輝明の「メジャー移籍強行突破」に現実味…“阪神残留説”も「折れるつもりはない」の声

  5. 5

    佐藤輝明「三冠王」なら年俸いくら? メジャー流出阻止へ阪神が用意する破格の条件

  1. 6

    有望高校球児の進路事情に異変! 青学大は「ドラフト指名と同等の価値」「明大より上」とプロスカウト

  2. 7

    甲子園史上最速156キロ横浜・織田翔希にNPBスカウト早くも白旗 「直メジャー」なら契約金5億円も

  3. 8

    日本ハム清宮幸太郎は「代打打率.625」 スタメン落ちに文句タラタラでも新庄監督の思うツボ

  4. 9

    沖縄尚学・末吉良丞は「TJ手術見込み」でもドラフト指名されるのか…プロ入り断念、大学進学のウワサも噴出

  5. 10

    日本ハム新庄監督に「自分に甘く他人に厳しい」の特大ブーメラン! “お気持ち表明”も非難轟々

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    豊昇龍が長期離脱で大の里までピンチ! “ひとり横綱”の重圧で「共倒れ」にならないか

  3. 3

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  4. 4

    北島三郎(2)2018年に次男が急逝「息子だけど、音楽の、とても良い仲間でもあった」

  5. 5

    SNSで大バズリ! 高市首相の「激ヤバ発言動画」発掘がブームに…中には悪質な切り取りも

  1. 6

    『ヘイ・ブルドッグ』ポールの見事なアドリブに感じるコーラスグループのすごみ

  2. 7

    有望高校球児の進路事情に異変! 青学大は「ドラフト指名と同等の価値」「明大より上」とプロスカウト

  3. 8

    KDDIが楽天モバイルへの「ローミング」終了でライバルの“品質低下”を狙い撃つ

  4. 9

    新庄日本ハム舵切り「2位シフト」 騙し騙し起用の万波中正をついに登録抹消

  5. 10

    東京・銀座、KK線再生で誕生、東京スカイコリドーは高さ8.5メートル天空の遊歩道