著者のコラム一覧
友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

最大の被害者は大谷翔平 飛ばないMLB公認球で本塁打数激減

公開日: 更新日:

 今年のメジャーリーグは、いつになく本塁打が少ない。

 例年、4月が終わった時点で本塁打数を2ケタに乗せる選手は数人出るが、今年は皆無。9本が最多だった。これは2009年以来の珍現象で、原因はハッキリしている。MLBが「本塁打バブル」に歯止めをかけるため、開幕から飛ばないボールを使用しているからだ。

 飛距離に最も大きな影響を与えるのは反発係数である。MLBのルールでは反発係数が「0.53~0.57」と規定されており、セリグ前コミッショナー時代は反発係数が中間点である0.55に設定されていた。この反発係数だとMLB全体の年間本塁打数は5000本前後で、セリグ時代の最後の年になった14年は年間本塁打数が4186本だった。

 ところが、15年にロブ・マンフレッドがコミッショナーに就任すると観客の減少に歯止めをかけるには本塁打の数を増やすことが肝要だと考え、ボールの反発係数を上限の0.57に上げた。その結果、年間の本塁打数は激増し、19年には6776本になった。5年で62%も増加したのだ。

 これによってMLBでは大味な本塁打依存野球が目立つようになり、観客が増えないばかりか、従来のファンの反発も招くことになったので、今年からボールの反発係数を以前の水準(0.55)に戻すことにしたのだ。ただ、反発係数を単純に以前の水準に戻すと年間の本塁打数が5000本を割る可能性が高いため、減少幅を抑える工夫としてボールの重さを2.8グラム軽くした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン