大リーグはロックアウト突入不可避 大谷翔平や鈴木誠也の契約・ビザ発給・調整に大打撃!

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 突入は不可避のようだ。

 米東部時間12月1日23時59分に期限を迎えるMLBの新労使協定交渉。米国内の複数の関係者やメディアは、期日までにまとまる可能性は低く、ロックアウト突入が決定的だと報じている。米球界に詳しい野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏は言う。

■選手会のタフネゴシエーター

「最大の焦点は、ぜいたく税と言われる課徴金制度。対象となる総年俸の上限を今季の2.1億ドルから1.8億ドルに引き下げたいオーナー側と、これがサラリーキャップ(年俸総額制)につながり、個々の選手の年俸にも上限が設けられかねないことを懸念した選手会側が反発している。ここにきて大物選手の駆け込み契約が相次いでいるのもロックアウトによる交渉凍結を見据えているからで、交渉が、ここ数日で決着する可能性は低いとみています。まして、選手会の交渉責任者であるクラーク専務理事は昨年、公式戦の減少による選手の参稼報酬を巡るオーナー側との交渉で粘り腰によって試合数に応じた給与の支払いを勝ち取った。今回も選手の待遇を巡る話。ギリギリまで話し合いを続けるとみられます」

 ロックアウトになれば、メジャー選手の獲得、契約交渉が凍結される。日本時間12月7日から予定されているウインターミーティングも延期か中止となりかねない。ロックアウトが長引けば選手会がストライキを決行する可能性もある。来季のスプリングトレーニングや公式戦の開催も不透明となる。

 前出の鈴村氏は「オーナー側が脅しをかける意味で、まずはウインターミーティングまでの1週間程度、ロックアウトする可能性がある」と言うのだが、今回の労使闘争で大きな影響を受けそうなのが、エンゼルスの大谷翔平(27)と、複数のメジャー球団と移籍交渉をしている広島鈴木誠也(27)だ。

■ビザ無効の可能性

 今季、二刀流で大活躍した大谷は、順調にいけば23年オフにFA権を取得する。しかし、労使交渉期間が長引けば、その間はプレーできないばかりか登録日数に換算されないため、FA取得のタイミングが後ろへズレ込む。

「コロナにより、試合数が60試合になった昨季は、スプリングトレーニングを打ち切り、開幕3~4日前にようやく選手が集合した。大谷はただでさえ、投手と野手両方の調整が必要。開幕までの練習期間が短くなれば、外野手との三刀流挑戦にも影響を及ぼしかねない。ビザの問題もあります。米入管は、労使協定を根拠に就労ビザを発給する。労使協定が無効となり、来季の公式戦開催が不透明となれば、いくら資格があっても、労働機会がないと判断され、許可が下りない可能性もゼロではない。さらに、コロナの変異株『オミクロン』の動向次第ではバイデン政権が外国人の入国を制限するケースも否定できません」(鈴村氏)

94年には7カ月半のストライキ

 一方の鈴木に関しては先日、代理人のジョエル・ウルフ氏が「始動が遅くなっても、いい決断ができた方がいい」と、暗に労使協定失効前の駆け込み契約を否定している。しかし、状況によっては、移籍先の決定が遅れるだけでは済まない可能性もあるという。

「大谷と同様、ビザ取得の問題に加え、契約内容にマイナスの影響が生じるかもしれません」と前出の鈴村氏がこう続ける。

「1981年、FAを巡る交渉で選手会は50日間のストライキを行った。今回のケースが、来季を予定通り行う前提での話し合いなら、ロックアウト期間はスプリングトレーニングまでの1カ月程度になるとみています。ただ、問題は交渉が紛糾した場合です。94年8月からのストライキは、95年4月までの7カ月半に及んだ。今回と同様、サラリーキャップを巡って交渉が難航。当時のクリントン大統領が介入するも、失敗する事態に陥りました。95年のスプリングトレーニングはマイナー選手を使って強行しましたが、同年、ドジャース入りした野茂英雄は当初、マイナー契約しか結べませんでした。村上雅則が64年にプレーしてから30年間、日本人メジャーリーガーがいなかったために米側がいい評価を下しづらかったことに加え、ストライキの最中に新規にメジャー契約を結ぶことが選手会の反感を買うという事情もあったとみられています。今回、オーナー側の主張が通り、ぜいたく税の対象上限が引き下げられた場合、多くの補強費をつぎ込んでいる球団が鈴木から手を引くことも考えられます」

 いち早い妥結を願うばかりだ。

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