選手権V6度の名伯楽・小嶺忠敏氏死去…「国見サッカー」への誤解と個性重視の指導

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■門外漢の記者にも情熱的に語る

 大間違いだった。国見高は、始業時間前の午前6時から1時間半、体育館でフットサル形式の練習を行っていた。小嶺監督もコーチも口出しは一切なし。ドリブル突破の回数やパスがつながった回数で勝ち負けを決めていた。これがファンタジスタのMF永井秀樹、独創的なキックが持ち味のMF三浦淳宏、ゴールハンターのFW大久保嘉人ら後に日本代表の主軸をなす個性派を輩出した。

 アジアの大砲・高木琢也を巡るエピソードも興味深い。国見高に入学した高木は当時、シュートがゴールの枠外ばかりに飛んでいく。しかし「10本に1本は釜本邦茂さんのような強烈なシュートを決める。毎日の居残り練習で<得意の形>を身に付けさせた」とは生前の小嶺氏。フィジカル一辺倒ではなく、選手の個性を伸ばす指導を重視していたのである。

 87年度に選手権を初制覇した国見高が宿舎にしていた都内の旅館を日刊ゲンダイ本紙運動部記者が訪れた。

「旅館を入ってすぐのソファセットに座り、門外漢の記者に対してサッカーを情熱的に語っていただいた」(本紙運動部記者)

 享年76。合掌──。

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