著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

全豪OPついに開幕…政治まで絡んだ「ジョコビッチ事件」の真相はヤブの中

公開日: 更新日:

■診断書は簡単に手に入る

 この上げ潮にコロナは大きな障壁になった。トップ選手が遠い南半球への遠征をためらえば、たちまち閑古鳥が鳴く昔に逆戻りする。今年はフェデラーが欠場、ナダルは故障明け、メドベージェフら若手ロシア勢の知名度はイマイチ。女子も、大坂なおみはメンタル問題を抱え、地元のバーティーは昨年9月から休んで……頼みのジョコビッチの突破口がワクチン接種免除の特例措置だった。

 半年以内の感染者へのワクチン免除という特例に大会本部、州政府は欣喜雀躍。ジョコビッチは20年6月に自身が主催したチャリティー大会で感染したことを公表しているが、昨年12月にも感染していたのだとか。

 今回の“事件”の根っこは、どの国も頭を悩ます感染と経済問題、だから政治まで絡んだ。国内の不満が爆発するや、5月に総選挙を控えるモリソン首相が有名人への特別扱いを否定。州と国が対立する中、裁判所は入管所の対応不備を根拠に入国を認めた──。

 セルビアにとって、ジョコビッチは長嶋茂雄イチロー、いやそれ以上の国民的ヒーローだ。診断書は簡単に入手できるだろうから、真相はやぶの中。昨年暮れには中国の女子選手、彭帥をめぐる人権問題もマスコミを賑わせたばかり。社交界から発展したテニスではゴシップ、スキャンダルも大事な人気要素だが、感染問題だけに、今回はそうも言っていられない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」