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藤田信之日本実業団陸上競技連合顧問

1940年10月、京都府出身。洛北高卒業、京都市職員を経て68年ユニチカ陸上部コーチ、72年監督就任。86年ワコール初代監督、99年グローバリー初代監督、2005年シスメックス初代監督、11年同陸上部顧問退任。現在、日本実業団陸上競技連合顧問。

野口みずきは初マラソンVでアジア大会代表に それでも私が辞退させた理由

公開日: 更新日:

澤木強化委員長に「なぜ代表を断るのか」と言われたが…

 結果は13位。予想通りだった。しかし、参戦させてよかった。99年から2年連続出場の世界ハーフ(2位、4位)ではマラソン選手しか見ていない。世陸は800メートルから1万メートルまで世界のトップランナーの練習を間近で観察できたことで、多大な刺激を受けたのだろう。大きな瞳で「監督、もう一度この大会に出たいです」と言った。

 真木の指導経験から、世界で勝負するには最長距離のマラソンしかないと確信していた私は、野口と04年のアテネ五輪を目指すことになった。初マラソンの02年名古屋は2時間25分35秒で優勝。同年9月のアジア大会(釜山)代表に決まったのだが、私は陸連に代表辞退を伝えた。すると、澤木啓祐強化委員長が、わざわざ京都にあったグローバリー陸上部の事務所までやってきた。

「藤田監督、なぜ代表を断るのか」

■「だから野口は出しません」

「過去、アジア大会のマラソンに出た選手、特に男子の多くは暑さで内臓をやられたり、体がガタガタ、選手寿命を縮めた者もいる。出場するなら、その後の保証をしてくれという話がいつも出ているやないですか。だから野口は出しません。来年の大阪国際に勝ち、世陸の代表を決めます。そしてメダルを取らせ、五輪の代表権を確保します」

 陸連にとってアジア大会も重要な国際大会だが、アテネまでの練習計画などを説明し、澤木強化委員長には代表辞退を納得してもらった。

 では、アテネ五輪の代表を狙うのになぜ大阪国際を選択したのか。=つづく

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