著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

ジャッキー・ロビンソンの“遺産”を活用せざるを得ない…大リーグでの黒人選手の実情

公開日: 更新日:

 ニューヨークのダウンタウンにジャッキー・ロビンソン博物館が開館した。

 初めて構想が持ち上がってから14年の歳月を経て今年9月5日に一般公開を開始した同館は、大リーグ史上初のアフリカ系アメリカ人選手であるジャッキー・ロビンソンの遺品約4500点と写真約4万点を展示している。

 大リーグだけでなく米国のプロスポーツの歴史にとっても画期的な出来事が起きてから75年という節目の年に、ロビンソンを顕彰する博物館が開設されたことは、それだけ彼の功績が大きいことを示している。

 また、同館ではロビンソンが積極的に携わった公民権運動に関する資料の展示もなされており、1950年代から60年代にかけて起きた米国社会の大きな変化がどのようなものであったかを知るための重要な手掛かりを与える。このようにみれば、博物館は野球を通して米国社会のあり方を学ぶための重要な場所ということができるだろう。

■雲散霧消の黒人リーグ

 ところで、1947年以降の展開を見れば、ロビンソンがアフリカ系アメリカ人も大リーグ選手となれる事実を示したことは、黒人リーグ衰退の始まりでもあったことがわかる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態