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Ricardo Setyonジャーナリスト

リカルド・セティオン 1963年生まれ。サンパウロ出身。中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材。スポーツジャーナリストに転身し、8カ国語を操りながらブラジルメディア以外にも英「ワールドサッカー」、伊「グエリン・スポルティーボ」など幅広く執筆。BBCのラジオ番組にも出演。98年、02年のW杯期間中にブラジル代表付き広報を務めた。現在もジーコ、ロナウド、ロナウジーニョ、カフー、ドゥンガら大物との親交も厚い。13年コンフェデレーションズカップではFIFA審判団の広報。国内では「ワールドサッカーダイジェスト」「スポルティーバ」などでコラムを執筆中。ブラジルのマッケンジー大、パナマのパナマ大、イスラエルのハイファ大などでスポーツマネージメントの講義を行う。自他ともに認める「サッカークレージー」。

ロナウジーニョ、ベッカム、シアラーetc.…W杯レジェンド9人「日本代表への称賛と苦言」

公開日: 更新日:

伝説的GKシュマイケルが言った「日本はいいチームだが強くはなかった」

 今回は不参加だった元イタリア代表のアレッサンドロ・デル・ピエロ(48)も来ていた。彼は日本通でも有名なんだ。

「中田(英寿)とも話したんだけど、昔の日本にはいい選手が1人か2人いれば十分だった。それが今や10人はいる。それにしても、この負け方はちょっと納得がいかない。ドイツ、スペインに堂々と勝ったチームがなんでクロアチアを恐れてしまったのか。勝てる力は十分にあったのに自滅してしまった。僕にとって日本はいつでも第2のチーム。イタリアがいない今回は1番のチームだっただけに悲しいよ」

 敗退がもったいなくて、あえて厳しい指摘をくれたレジェンドもいる。まずはデンマークの伝説的GKピーター・シュマイケル(59)だ。今大会ゴールを守ったカスパー・シュマイケルの父親でもある。

「日本人は完璧でないと満足しない気質を持っている。ただサッカーに完璧はない。森保監督は試合をコントロールしようとして、確かに一時は成功した。しかしサッカーは野獣だ。完全に飼いならせるものじゃない。ヒモが切れた途端に制御不能になる。みんな日本のことを褒めているけど、日本が強いというのは幻だと思う。いいチームだが強くはなかった。日本に足りないものはリーダーだ。メッシやネイマールのような存在がいない。だから困った時に、ボールをどこにやったらいいか分からないんだ」

■クロアチア戦の弱気な試合運びがもったいない

 元イングランド代表のキャプテン、アラン・シアラー(52)は日本選手の様子をよく観察してたみたいだね。

「日本は、もうW杯の常連。それなのに、いつも不安そうにプレーしている。どこか焦って冷静さがない。クロアチア戦でも、準々決勝進出をその手に握っていたにもかかわらず、弱気な試合運びで敗退した。本当に惜しいよ」

 元アルゼンチン代表のゴールゲッター、ガブリエル・バティストゥータ(53)は3度W杯を戦った選手らしい言葉をくれた。

「試合の局面に合わせてシステムを目まぐるしく変えるのに、どんな時もチームとして機能しているのは素晴らしかった。でも、残念ながら日本はW杯というものが分かってない。必ずいいプレーをしたチームが勝つんじゃない。賢く立ち回った方が勝つんだ」

 日本がベスト8の壁をブチ破るヒントにはなったかな? 実はW杯の1カ月前、ボクは日本にいたんだけど、誰の口からも日本代表に対するポジティブな意見は聞かれなかった。でも、フタを開けてみたら、この活躍ぶり。課題はあるけど、みんなもっと自分たちの代表を誇りに思っていいよ。紛れもなくアジア最強で世界でもトップクラス。なによりサッカーは名前や年俸でプレーするんじゃないってことを思い出させてくれた。アリガトウ・ニッポン!

 ただし、なぜグループリーグでコスタリカに負けたのかだけは、次に日本に行った時にしゃぶしゃぶでも食べながら教えてほしいね。

▽翻訳=利根川晶子(とねがわ・あきこ) 埼玉県出身。通訳・翻訳家。82年W杯を制したイタリア代表のMFタルデッリの雄叫びに魅せられ、89年からローマ在住。90年イタリアW杯を目の当たりにしながらセリアAに傾倒した。サッカー関連記事の取材・執筆、サッカー番組やイベントで翻訳・通訳を手がける。「カカから日本のサッカー少年へ73のメッセージ」「ゴールこそ、すべて スキラッチ自伝」「ザッケローニ 新たなる挑戦」など著書・訳書多数。

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