北口榛花のやり投げ人生を変えた単身チェコ留学 食事、洗濯、お風呂…文化の違いに驚きの連続

公開日: 更新日:

変化したコーチとの関係「東京五輪の前くらいから言い返せるように」

 コーチは体重を落としてほしくないようで、動けるなら体重は重い方がいいと指導されます。以前、コロナでコーチと直接会えなかった時期に5キロくらい痩せたんです。自分では軽い方が動きやすくていいのかなと思っていたんですが、その状態で競技を再開したら、(両手を広げて)こ~んなに長いメッセージが英語で送られてきました。

「女の子だから見た目を気にするのは分かるけど……」から始まって、「競技のためには……」と。すぐに「すみませんでした、体重を戻します」と返しました。

 サプリメントもかなりの量を飲んでいます。気が進まず、コーチの指示を延々と拒否し続けていたんだけど、ダメでした(笑)。練習や試合のときに5種類ほど飲んでいます。

 コーチのことは信頼していますが、東京五輪の前くらいからようやく言い返せるようになりました。以前は一方的に言われて、そのたびに私がダメージを受け続けるという関係(笑)。自分の意見を言おうにも、日本特有のオブラートに包んだような表現では、相手には通じない。

「何を言いたいのか分からない」「結局、なにがしたいの? どうしたいの?」となるので、自分の考えや思ったことをすべてストレートに真っすぐ伝えるようになりました。

 とはいえ、定期的に言い負かされているし、議論をしても勝算はあまりないんですけど。言い返さないと、これでいいんだな、と思われるのもイヤですから。

 でも、彼はすごいんです。ずっと同じことを言い続けられる人。私のチームメートには3年間も同じアドバイスをされ続けている選手もいます。妥協することなく指導できるデービッドはすごいなと。普通なら1カ月経ってもできなければ、もういいよ、と諦めるのに絶対にそうならない。

 適当なところは適当なんですけどね。「日本は必ず時間通りにコトが進む」ということを理解しているので、来日すると突然、5分前行動を始めるんですが、海外だと例えば8時30分集合の予定なのに28分くらいになって急に「やっぱり45分に待ち合わせね」って連絡してくることもありました(笑)。

水泳で鍛えた柔軟性、バドミントンで培ったしなやかさ

 私はやり投げを始める前は水泳とバドミントンをやっていました。母が元バスケットボールの実業団選手だったので、小学校1年のときにバスケを始めたものの、1カ月で「センスがない」と言われてやめました。

 でも、いろいろなスポーツをやらせてもらって良かったと思います。水泳やバドミントンをやっていたことで、試合への向き合い方や、緊張したときの対処法とか、いろいろ身について、やり投げの試合でアタフタしない。戦うことに慣れているのは感じます。

 体力面でも、水泳ほど肩をまわす種目はないので、柔軟性や肩の筋肉を鍛えられたと思うし、バドミントンは早く腕を振らないといけないので、しなやかさにつながっているかなと思います。

北口榛花(きたぐち・はるか) 1998年3月16日、北海道旭川市出身。3歳のときに水泳を始める。東京五輪で57年ぶりのやり投げ種目決勝進出。世界陸上で3位となり、投てき種目で日本女子史上初となるメダルを獲得する。父は旭川市内のホテルで製菓料理長を務めるパティシエ。母は元バスケットボール実業団選手。179センチ、86キロ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」