著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

「順位」から「記録」に方向転換した日本マラソン界の齟齬…東京マラソンのPM問題で浮き彫りに

公開日: 更新日:

 国内では陸連が長いことPMを公表しなかった。93年の東京国際マラソンのゲルト・タイスが最初だろう。宗兄弟、瀬古利彦、中山竹通で賑わった80年代、大会が欲しかったのは記録より彼らの“顔”。顔がなくなったから記録を求め始めた。

 ルール違反の助力だという意見もあるが、PMの目的はあくまで記録で順位ではない。順位を争う五輪や世界選手権にはPMはいない。では、東京マラソンの目的は何だったか。

 東京はかねがねグローバルスタンダードをうたい、今回もキプチョゲらトップランナーを招いている。東京の目的はMGCの順位ではなく、世界記録、少なくとも大会記録の更新で、その目的は達成されている(2時間2分16秒=世界歴代5位)。MGCにはさまざまな意見がある。ただ、今回のPMをめぐる混乱は、東京マラソンという新しい都市マラソンと、“顔”をなくした日本の伝統との齟齬、時代の変わり目の難しさに映った。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった