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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

「順位」から「記録」に方向転換した日本マラソン界の齟齬…東京マラソンのPM問題で浮き彫りに

公開日: 更新日:

 ランニング誌「ランナーズ」の香港マラソン特集で、市民ランナーの集合写真がめちゃくちゃ明るかった。

 男子は3時間、女子は3時間30分を切った地元参加者の賞金が1万香港ドル。約19万円を手にして満開の笑顔だ……。

 金目当てで42キロは走れない。努力が報われた喜びを健康や街づくりに結び付けようというのが、昨今の都市マラソンの考え。日本のマラソンは五輪志向、完走の美学の伝統が根強く、そこにちょっとした混乱が生じている。

 五輪代表の最終枠がかかった東京マラソンでのペースメーカー(PM)が問題になった。設定タイムで走らなかった、と。

 80年代のプロ化~世界グランプリ開催で大会間の長距離種目の記録競争が始まり、高額報酬で雇われたPMが登場した。

 コース条件が違うロードレースの記録は、かつて参考程度だった。記録の概念を打ち出したのが85年のロッテルダムで、仕掛けたのはナイキ。今の厚底ブームと同じ流れである。金メダリストのカルロス・ロペスが2時間7分12秒の世界記録を作り、PMを務めたヴァンサン・ルソーは94年の大会で優勝した。

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