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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

MLBが「鬼滅の刃」を宣伝材料に使った本当の狙い…映像はYouTubeやTikTok、Instagramなどでも公開

公開日: 更新日:

 大リーグの側から見るとき、日本向けの大きな要因として挙げられるのが、20代から40代の女性に厚い支持層を持つのが「鬼滅の刃」であるという点だ。日本のプロ野球のテレビ中継を視聴する割合が相対的に低い20代から40代の女性の注目を集めるために、「鬼滅の刃」は大きな訴求力を持つことになる。

 映像はYouTubeやTikTok、Instagramなどでも公開されており、日本にとどまらず世界に向けた宣伝の一環をなしていることが分かる。各種SNSなどでは軒並み多くの閲覧者と高い評価を獲得しており、世界各地で広く知られ、米国でも強い支持を得ている「鬼滅の刃」を利用し、大リーグだけでなく野球そのものをより身近なものに感じてもらおうとする機構の意図が奏功している。

 米国では、特に10代後半から20代が「鬼滅の刃」に親しんでいる。そのため、“Kimetsu”として米国の若者にとって馴染みのある作品との連携は、アメリカンフットボールバスケットボールに比べて古めかしい印象を持たれがちな野球の新しい一面を示すために好適となる。

 一方、「鬼滅の刃」を手掛ける日本側にとっては、大リーグとの協業は競争力の高さを改めて認識させ、世界的な知名度をさらに深化させ、映像を制作したufotableの実力をより多くの人たちに伝えることになる。

 この映像は、2分14秒という限られた時間を最大限生かした試みなのだ。

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