「インパクトはパン、パン、パーンよ」 ミスター流指導の“擬音連発”に選手は困惑しつつも…
「高橋君ね、腰を『グッ』『グッ』『グッ』と切るんだ」
きょとんとしていた慶彦が打撃練習を再開すると、目が覚めるような強い打球に変わっていた。
「そうそうそう、それグーよー」
今度は長嶋清にこう言った。
「長嶋君ね、インパクトは『パーン』じゃなくて『パン』『パン』『パーン』よ」
あの独特の言い回しで身ぶり手ぶりの指導。私は傍らで長嶋さんの言葉をメモした。長嶋清の打球も明らかに速くなった。
長嶋さんが帰った後、慶彦は私にこう確認しにきた。
「腰をグッグッグッていうのはどういう意味なんですか?」
「おまえ、打球が変わっただろ? 腰に力が入っただろ? 腰を素早くスピーディーに回しなさいということだ。それが『グッグッ』なんだよ」
「そうなんですか」
長嶋清も首をひねりながら、こう漏らした。