選手の悪口を絶対に言わない監督でもあった。藤田監督の下、私が一軍の守備コーチを務めていた92年のことだ。試合中にサインプレーのミスが出た。試合後に監督室に呼ばれ、「あれはどういうことだ?」とミスしたプレーの説明を求められた。私が当該選手の名前を挙げて答えると、
「選手のことは言わなくていい。彼らの責任にするな。コーチがしっかりと指導すればいい」
と、諭された。監督室には私と藤田監督しかいない。それでも、選手を非難するようなことはよしとしない人だった。
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当連載【プレイバック「私が見た長嶋茂雄」】の次回は、元巨人二軍監督・内田順三氏が驚愕した「ミスター流」の指導方法について。