長嶋茂雄さんは美食家で、毎年開幕前は総勢100人近い球団関係者を高級中華料理店に招待してくれた

公開日: 更新日:

 今もってファンの方々に愛される長嶋茂雄さんは素顔も魅力的な人だったが、藤田元司監督もまた、接した誰もが魅了される人だった。

 現役を5年で引退し、スカウトやスコアラーをやっていた私をコーチに引き上げてくれたのが藤田監督。「瞬間湯沸かし器」の異名を取り、特に怠慢プレーなどには容赦なく怒った。忘れられないことがある。

 当時、巨人では3連戦ごとに賞金が出ていた。試合の活躍に応じて、100万円だったら100万円を分配するのだ。ある日、投手の何人かがその賞金の割り振りを巡ってモメていた。オレが20万円でなんでアイツが30万円なんだ、と文句を垂れていた。それを耳にした藤田監督が眉を吊り上げ、「カネのことでモメるんじゃない! そんなにカネが欲しけりゃ、オレがやる!」と一喝。翌日、300万円の札束を持ってきて、「好きなように分けろ! 活躍すれば給料は上がる。そんなことでモメるな!」とテーブルの上にボンッと叩きつけたのである。

 指揮官にここまでされて、こたえない選手はいない。卑しい自分を恥じたのだろう。以降、賞金の配分を巡って選手同士がモメるようなことはなくなったと記憶している。藤田監督の一喝は、結果的に選手同士にも禍根を残さずコトを収めることになった。さすがの名采配、と感心することしきりだったのを覚えている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン