仁志敏久は“大人の事情”で五輪代表漏れ…とても悔しそうな表情が今でも忘れられない

公開日: 更新日:

 そんな事情を考慮した上で、私は小久保が在籍する青学大、仁志が在籍する早大へ足を運び、野球部の指導者へ派遣のお願いをした。

 しかし、仁志については長期間、学業から離れることから、派遣は難しい、という回答だった。その4年後の96年アトランタ五輪では投手の三沢興一(早大↓巨人)が早大から代表入りしているが、仁志がいた当時は、実現には至らなかった。

 92年3月、神宮球場で行われたプロアマ交歓試合に出場後、私は仁志に代表から外れる旨を伝えた。本当の理由を告げるわけにはいかず、20人の最終メンバーを選ぶにあたり、野球の技術面の課題をその理由とした。なぜ僕がといわんばかりの、とても悔しそうな仁志の表情が今でも忘れられない。

 本当の理由を伝えることができたのは、彼がプロ入りした後のことだった。横浜ベイスターズでフロントを務めていた時、仁志が巨人から加入した。人づてに理由を聞いていたという仁志は、「あの時は本当に悔しかったです」と言っていた。そうした経緯がありつつも、仁志は現役引退後、侍ジャパンのコーチやU12代表の監督を務めるなど、日本代表に率先して関わってくれている。私もアマ野球界のさらなる発展のために尽力したいと改めて思う。 

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  2. 2

    遠野なぎこさんを追い詰めたSNSと芸能界、そして社会の冷酷無比な仕打ち…悲惨な“窮状証言”が続々

  3. 3

    ドジャース大谷翔平がついに“不調”を吐露…疲労のせい?4度目の登板で見えた進化と課題

  4. 4

    清原果耶「初恋DOGs」にファン失望気味も…《低視聴率女王》待ったなしとは言い切れないウラ事情

  5. 5

    会議室で拍手が沸き起こったほどの良曲は売れなかった

  1. 6

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  2. 7

    兵庫は参院選でまた大混乱! 泉房穂氏が強いられる“ステルス戦”の背景にN党・立花氏らによる執拗な嫌がらせ

  3. 8

    極めて由々しき事案に心が痛い…メーカーとの契約にも“アスリートファースト”必要です

  4. 9

    遠野なぎこさんか? 都内マンションで遺体見つかる 腐乱激しく身元確認のためDNA鑑定へ

  5. 10

    新横綱大の里が直面する「遠方への出稽古慣れ」…車での長距離移動は避けて通れない試練に